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別紙1

国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム)
「日本-フランス共同研究」平成28年度新規課題 一覧

課題名 日本側
研究代表者
所属・役職 課題概要
フランス側
研究代表者
配位高分子結晶の分子配列を利用した相転移メモリ素子の開発 堀毛 悟史 京都大学 大学院
工学研究科
助教
本研究は、これからの電子デバイスに用いられるメモリ技術のコアとなる材料を、分子を使って作り出すことを目的とする。 具体的には、日本側は分子メモリ素子のスイッチング動作の観測、およびデバイス化技術を開発する。フランス側はメモリとなりうる新しい分子を合成し、結晶中で作動させる。 両国チームによる共同研究を通して、「より低エネルギーで作動し」、「小さいサイズで高密度に記録でき」、「自由に曲がるような新たなデバイスに搭載できる」まったく新たなメモリを世に送り出すことが期待される。
オード・デメッセンス リヨン環境・触媒研究所
持続性化学材料グループ
研究員
発蛍光プローブのデザイン・合成による蛋白質機能の細胞内局在履歴の「記憶型」イメージング 菊地 和也 大阪大学 大学院
工学研究科
教授
本研究は、分子ツールをデザイン・合成・生物応用することで、細胞内の蛋白質局在の履歴を可視化することを目指す。 具体的には、日本側は細胞膜に局在した証拠を記録するプローブ合成を行い、フランス側は蛋白質の足跡を残す沈殿型プローブの合成を行う。 これまでに、日本のグループはⅡ型糖尿病の病因の一つであるグルコーストランスポーター4(GLUT4)の糖鎖が、細胞膜へのGLUT4の局在時間を決めていることを示し、化学プローブをデザイン・合成・応用することで、蛋白質のクオリティーチェックが細胞膜で行われることを初めて明らかにした。 さらに本手法を一般化するための両国チームによる共同研究を通して、従来の手法では解析できなかった細胞刺激に応答した蛋白質移動の可視化と機能評価が期待される。
イェンス・ハセロッド リヨン高等研究院
化学科
教授
光機能性を有する共有結合性2 次元超分子ネットワークの表面合成 金 有洙 理化学研究所
Kim表面界面科学研究室
主任研究員
本研究は、固体表面における共有結合性2次元分子ネットワークの直接形成技術を用いて、光機能を持つ分子を基本単位として高度に組織化する手法の新規かつ普遍的な構築と新規・高性能デバイス応用を目指した光機能性新物質の創成を目的とする。特に絶縁体もしくは金属基板上においてその分子の物理化学的特性を保ちつつ2次元の大面積において特徴的な機能を発現することに着目する。 具体的には、日本側は光励起と検出が可能な走査型トンネル顕微鏡による2次元超分子ネットワークの構造や光機能を原子・分子レベルで可視化し、構造および機能の理論的解析を行う。フランス側は基本単位となる光機能性前駆物質を合成し、固体表面上における2次元分子ネットワークの直接形成を行う。 両国チームによる共同研究を通して、高効率・新機能の光デバイス機能創成につながる新しい物質開発システムの構築が可能と期待される。
シルバン・クレア IM2NP
フランス国立科学研究センター(CNRS)主任研究員
トランジスタ型超高感度イオンセンサーの開発とセシウムイオン検出への応用 若山 裕 物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
グループリーダー
本研究はイオン認識機能をトランジスタ素子に取り入れることにより、セシウムイオンを高感度で検出するイオンセンサーを開発することを目的とする。このためイオン認識部と絶縁層、有機半導体層といった構成要素を最適化する「物質科学」と、これら各材料をトランジスタ素子に組み立てる「デバイス工学」の両輪をもって取り組んでいく。 具体的にはフランス側がイオン認識機能と脂質分子の設計と合成を行い、日本側が有機半導体の分子設計と薄膜成長および素子構造の最適化を行う。さらに双方でイオン検出機能を評価して、その知見をそれぞれ分子構造とデバイス構造にフィードバックする。 このように両国チームによる共同研究では、材料合成からデバイス作製までをシームレスで分担・連係しながら開発を進められる体制とした。さらに、提案するセンサーはプラスチック基板上に作製できることや、他の重金属イオンや生体物質などへも容易に展開できることを特徴としている。そのためさまざまな被検物質を対象にした汎用性センサーへ展開できる。
アン・シャリエール マルセイユナノサイエンス研究センター
フランス国立科学研究センター(CNRS)研究員