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別紙1

国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム)
「国際共同研究拠点」平成28年度日本-インド共同採択新規課題の概要

課題名 日本側
研究代表者
所属機関・役職 課題概要
インド側
研究代表者
IoTとモバイルビッグデータ処理のための高信頼高機能サイバーフィジカルシステムの構築 藤田 昌宏 東京大学
VLSI設計教育研究センター
教授
本提案は、継続的に大規模・複雑化している社会電子機器システムを広く表現するサイバーフィジカルシステムの信頼性・実行効率・開発効率を大幅に向上させる設計手法と支援ソフトウェア、そして設計テンプレートを日本とインドの企業とも協調しながら開発し、社会全般で利用することを目的とする。具体的には、研究開発した設計手法や支援ソフトウェアをIoTとモバイルビッグデータ処理に適用し、各種設計テンプレートを両国で技術的に補完しながら開発し、企業との協調を通してすぐに使える形で提供することで、社会システム全般へ迅速な適用と産業化を進める。本拠点構想では、日本側のシステム・ソフトウェア分野にインド側の優秀な人的リソースを投入し、一方、インド側のハードウェア・デバイス分野に日本側の先端実現技術を投入することで、日本とインドで世界電子社会システム一般における過半数の技術シェアの獲得が期待される。
ヴィエンドラ・シン インド工科大学 ボンベイ校
電機工学部
准教授
データ科学で実現する気候変動下における持続的作物生産支援システム 二宮 正士 東京大学
大学院農学生命科学研究科
教授
本提案は、インドの主要な食料生産地帯である半乾燥地で、気候変動下でも持続的な農業生産を支えるための技術開発をデータ科学に基づき行うことを目的とする。具体的には、IT基盤研究と農業応用研究に大別される。IT基盤研究では圃場センサー、ビッグデータの管理・利用、人工知能に関する研究を行う。また、農業応用研究ではIT基盤研究の成果を活用し、農業知識の効率的伝達、最適作物栽培管理、高効率育種のための技術開発を行う。各研究課題で、日本とインドの強みを生かす。例えば、知識の効率的伝達はインド側が、高効率育種支援は日本側が中心になって担うことで、非識字農家などへの技術普及効率向上による作物の生産性や品質の改善と農家の収益向上、栽培の最適化による半乾燥地における水利用の効率化や節水、育種の効率化による高性能品種の迅速な提供などが期待される。また、研究成果の他産業への波及効果も期待できる。
ウデェ・デサイ インド工科大学 ハイデラバード校
学長・教授
安全なIoTサイバー空間の実現 岡村 耕二 九州大学
サイバーセキュリティセンター
センター長・教授
IoT空間は、さまざまな情報の収集・解析を行い、そのフィードバックによって人々の生活に劇的な変化をもたらすところが着目されているが、それ故IoT空間に対するサイバーテロは国家的な問題となりうる。本提案は、現代・未来社会にとって重要な役割を果たすIoT空間の高度セキュリティ化を実現することにより「安全なIoTサイバー空間の実現」を目的とする。インド側はIoTデバイスやその通信におけるハードウェアセキュリティを、日本側はIoTデバイスから集められたデータの解析と、そのデータを扱う人的教育も含めたソフトウェアセキュリティに関する研究を行なう。本拠点事業では、九州大学とIIT-Delhiの連携によりさまざまなセキュリティの問題を国際的に扱い、最新鋭のサイバー演習装置を活用しながら、ハード・ソフトの部分を同時に解決していく。特にIoT空間を利用する人のリテラシも同時に向上させることができるため、真のIoT時代の早期到来が期待できる。
ランジャン・ボーズ インド工科大学 デリー校
電機工学部
教授