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別紙1

戦略的創造研究推進事業 ACCEL
平成28年度新規課題 概要

【研究開発課題1】

課題名:「高速画像処理を用いた知能システムの応用展開」
研究代表者: 石川 正俊(東京大学 教授)
プログラムマネージャー : 岸 則政

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)では、毎秒1,000フレーム以上の速度で画像を処理できる高速画像処理技術を基にして、飛翔体をあたかも静止映像として捕らえることができる高速追従装置や、動いている立体物に追従して映像を投影するダイナミックプロジェクションマッピングなどの知能システム注1)を提案、実証してきました。

ACCELでは、さまざまな用途に応用できる高速画像処理技術の共通基盤を確立するとともに、この技術が最大限に活用できる自動車・交通分野、高速ヒューマンインターフェースなどの分野ごとに最適なシステムを構築し、人間の視覚能力を補完し拡大する知能システムの実証を目指します。

PMとして、長年にわたりカーエレクトロニクスの研究や知能自動車システムの研究に従事し、運転支援システムの実用化実績を持つ岸 則政氏を配置し、技術的成立性の証明・提示(POC)を目指した出口指向の戦略的な研究マネジメントを推進します。

<目指すビジョンの図>

図1
注1) 知能システム
さまざまな情報の収集、高度なデータ処理、対象物の精密な制御などの優れた機能を融合したシステム。
注2) FA:Factory Automation
工場の生産性向上などを目的に各種工程をロボットなどで自動化すること。今後、さまざまな情報技術が導入され、さらなる技術革新が期待される。

<出身事業>

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
研究領域:「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」
研究課題:「高速センサー技術に基づく調和型ダイナミック情報環境の構築」
研究代表者:石川 正俊(東京大学 教授)

【研究開発課題2】

課題名:「次世代メディアコンテンツ生態系技術の基盤構築と応用展開」
研究代表者: 後藤 真孝(産業技術総合研究所 首席研究員)
プログラムマネージャー : 伊藤 博之

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)では、性能・機能面で従来技術を凌駕する世界最先端の音楽自動理解技術注1)を実現するとともに、音楽コンテンツを受動的に鑑賞するだけでなく、より能動的に楽しむことのできる世界初の音楽サービスを開発し、公開しました。

ACCELでは、上述の音楽自動理解技術を強化して、従来はできなかった音楽コンテンツの多様かつ大規模な分析と合成を可能にする基盤技術を確立するとともに、鑑賞・創作・協創注2)の3つの側面から利用者を支援する基盤技術を実現します。さらにその技術を活用したサービスプラットフォームを構築し、鑑賞支援サービス、創作支援サービス、協創支援サービスなどさまざまなサービスを実現可能にすることで、次世代のメディアコンテンツ産業の発展に貢献することを目指します。

PMとして、20年以上にわたり「音」に特化した事業運営の実績を持つ伊藤 博之氏を配置し、技術的成立性の証明・提示(POC)を目指した出口指向の戦略的な研究マネジメントを推進します。

<目指すビジョンの図>

図2
注1) 音楽自動理解技術
さまざまな楽器音が重なり合った音楽音響信号を分析して、メロディ、ビート(拍)、サビ(楽曲構造)などの音楽の主要な要素を自動推定する技術。
注2) 協創
他者と協力してコンテンツの新たな価値やコミュニティを創り出す行為。

<出身事業>

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
研究領域:「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」
研究課題:「コンテンツ共生社会のための類似度を可知化する情報環境の実現」
研究代表者:後藤 真孝(産業技術総合研究所 首席研究員)

【研究開発課題3】

課題名:「スローライト構造体を利用した非機械式ハイレゾ光レーダーの開発」
研究代表者: 馬場 俊彦(横浜国立大学 教授)
プログラムマネージャー : 小林 功郎

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)では、フォトニック結晶注1)を用いたスローライト技術注2)の研究開発を進め、スローライトの基本理論の開拓と基本動作の原理実証を行い、超小型の分散補償器、光相関器、ビーム掃引器など数々の機能素子を開発するなど、世界をリードする研究成果を挙げています。

ACCELでは、スローライト技術の応用として機械的に動く部分がない高分解能(ハイレゾ)な光偏向器注3)を開発し、それをコア技術とするモジュールを試作し、光レーダーに必要な機能や性能を実証します。ロボットや自動車などの3次元空間認識など、今後、技術的な進展や市場の拡大が期待される光レーダー分野において、超小型、高分解能、耐振動性、コスト競争力など、優れた特長を持つ光レーダーの実用化を目指します。さらに、本研究開発で蓄積された光関連の設計・製造技術は、光産業を中心に大きな社会変革につながることが期待されます。

PMとして、光デバイスの研究・開発・製品化に実績を持つ小林 功郎氏を配置し、技術的成立性の証明・提示(POC)を目指した出口指向の戦略的な研究マネジメントを推進します。

<目指すビジョンの図>

図3
注1) フォトニック結晶
光の半波長程度の微細で周期的なナノ構造を持つ結晶であり、半導体技術などで作られる。その構造と波としての光の性質との関係を利用することで光のふるまいを制御できる。
注2) スローライト技術
光のエネルギーが進む速度を光の速度に比べてはるかに遅くする技術。この技術によりスキャン、変調、スイッチ、同期など色々な光機能を従来技術よりもはるかに高性能に実現できる。
注3) 光偏向器
光の出射方向を変化させる装置で主に周辺を観察するスキャナーとして利用される。一般的に回転する鏡を利用するなど機械式が多い。

<出身事業>

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
研究領域:「新機能創成に向けた光・光量子科学技術」
研究課題:「フォトニックナノ構造アクティブ光機能デバイスと集積技術」
研究代表者:馬場 俊彦(横浜国立大学 教授)