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別紙1

研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)平成27年度新規課題 一覧

最先端研究基盤領域「要素技術タイプ」

No. 開発課題名 チームリーダー氏名
所属機関・所属部署・役職
サブリーダー氏名
所属機関・所属部署・役職
その他の参画機関 開発課題概要
1 新規近赤外蛍光団の開発と実用的蛍光プローブの創製 花岡 健二郎
東京大学
大学院薬学系研究科
准教授
- - 本課題では、新規な近赤外蛍光団及び近赤外蛍光プローブを開発することで、生命科学や分析化学など幅広い基礎科学研究において有用となる蛍光試薬(蛍光プローブ)を提供することを目指す。特に650nmから900nmの近赤外領域の光は、低い自家蛍光や高い組織透過性など多くの利点があり、近年、マルチカラーイメージングにおける新たなカラーウィンドウとしても期待されている。本課題において開発する蛍光団は、これまでに汎用されてきた近赤外蛍光団であるシアニン色素と比較しても多くの優位性があり、国内外への大きな波及効果が期待される。
2 非同期計測による高周波電界の空間分布可視化技術の開発 久武 信太郎
大阪大学
大学院基礎工学研究科
助教
宮地 邦男
シンクランド株式会社
代表取締役社長
アークレイ株式会社 本課題では、自励発振器等から放射されるマイクロ波帯からテラヘルツ波帯の高周波電界の空間分布を、その発生源とは非同期で計測し可視化するための要素技術を開発する。本開発により、車の衝突予防システムへの搭載が進むミリ波レーダや、第5世代(5G)移動通信システム関連機器、あるいは、テラヘルツ波帯で動作するアンテナ集積デバイスを、それら機器が置かれるリアルシチュエーションの元で評価可能とするための基本技術が確立され、幅広い分野への波及効果が期待できる。
3 新方式による量子センシングNMR装置の開発 渡邊 幸志
産業技術総合研究所
電子光技術研究部門
主任研究員
櫻井 竜也
昭和オプトロニクス株式会社
技術部
マネージャー
慶應義塾大学 量子センシングという新しい技術であるダイヤモンド量子磁気センサーをコア技術とし、従来技術の延長線上では実現できない感度と分解能を持つ、新原理NMR装置の開発を目指す。これにより、わずかな分子数でも検知可能なNMR装置を実現する。本開発により、将来的には1分子レベルでのNMR計測が見通せるようになり、ライフサイエンスにおける微量試料を対象とした分析装置の開発などに貢献する。また、材料開発など様々な分野にも適用可能であり、超高感度分析装置の突破口となる技術にすることを目的とする。

最先端研究基盤領域 「先端機器開発タイプ」

No. 開発課題名 チームリーダー氏名
所属機関・所属部署・役職
サブリーダー氏名
所属機関・所属部署・役職
その他の参画機関 開発課題概要
1 汎用・普及型超解像顕微鏡の開発 池滝 慶記
オリンパス株式会社
技術開発統括本部
主任研究員
熊谷 寛
北里大学
医療衛生学部
教授
NTTアドバンステクノロジ株式会社
筑波大学
近年、超解像顕微鏡法はライフサイエンス分野における基盤計測技術として注目されているが、その装置は複雑かつ高精度の光学システムを必要とし、保守管理が難しく、普及性に乏しい高価格商品となっていた。そこで本課題では、超解像顕微鏡法の普及を目指し、既存のレーザー顕微鏡に装着するだけで超解像を実現できる位相板の開発を中心に、多くのユーザーが簡便に利用でき、なおかつ、ニーズに合致した汎用・普及型の超解像顕微鏡を開発する。
2 マイクロ秒分解能・液体界面現象モニターの開発 酒井 啓司
東京大学
生産技術研究所
教授
里見 秀人
京都電子工業株式会社
技術開発本部 新規事業開発部 マーケティング室
室長
日本ペイントホールディングス株式会社
株式会社リコー
微小液滴を射出し、非接触誘電プローブによりその力学応答を測定することで、時々刻々に変化する液体の表面エネルギーをマイクロ秒の分解能で計測する表面・界面エネルギーモニターを開発する。さらに複数のノズルにより射出される異なる種類の液体の微小球が衝突融合することにより開始されるさまざまな反応現象を、マイクロ~サブミリ秒までの時間領域で光学測定により追跡する機能を付加する。本装置により、近年用途が拡大しているインクジェットなどの微小液体の動態と反応に関する詳細な情報が得られ、関連分野の研究開発の促進が期待できる。
3 プラズモンセンサを用いた埋もれた界面計測システムの実用化開発 本間 敬之
早稲田大学
理工学術院
教授
河村 賢一
株式会社東京インスツルメンツ
商品開発室
室長
株式会社協同インターナショナル 材料・デバイスの最表面から界面までの分子構造や化学反応を非破壊で高精度、その場計測する装置について、実用化を目指して用途に応じたプロトタイプ機の開発を行う。本開発では、3D高分解能・高速測定および2ミリ秒以下の高速動的測定対応を目標とする。また上記性能を実現する感度1万倍以上の高感度表面増強ラマンセンサについても開発を行う。本装置は固液界面反応やナノトライボロジー等の関わるエネルギーデバイスやストレージデバイス、さらに機械システムなど広範な産業分野への応用が期待される。
4 超高感度スピン相関高分解能 NMR装置の開発 (NMR共用プラットフォーム連携型課題) 藤原 敏道
大阪大学
蛋白質研究所
教授
中村 新治
株式会社JEOL RESONANCE
技術部 開発グループ
主事
福井大学 高分解能NMR(核磁気共鳴)法は分子の構造解析方法として極めて重要であるが、感度が低いという弱点が存在する。近年、NMR法の感度を向上させる技術のひとつとして、DNP(動的核偏極)法が注目されており、本開発チームはこれまでに世界最高性能のDNP-NMR法の開発に成功している。本課題では、極低温検出法と極低温高磁場でラジオ波とサブミリ波の多重パルス照射により、感度がさらに100倍以上向上した装置を開発する。そして、細胞内生体分子や材料界面の原子分解能構造解析を行えることを実証し、将来的なプラットフォームへの導入と活用を目指す。