氏名 |
機関名 |
所属部署名 |
役職名 |
研究課題名 |
稲蔭 正彦 |
慶應義塾大学 |
環境情報学部兼政策・メディア研究科 |
教授 |
ユビキタス・コンテンツ製作支援システムの研究 |
廣瀬 通孝 |
東京大学 |
先端科学技術研究センター |
教授 |
デジタルパブリックアートを創出する技術 |
藤幡 正樹 |
東京芸術大学 |
美術学部 |
教授 |
デジタルメディアを基盤とした21世紀の芸術創造 |
森島 繁生 |
早稲田大学 |
理工学部 |
教授 |
コンテンツ制作の高能率化のための要素技術研究 |
五十音順に掲載
総評 : 研究総括 原島 博(東京大学大学院情報学環・学際情報学府 教授)
「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」研究領域は、本年度から募集を開始した研究領域です。
映画、アニメーション、CGアート、ゲームソフトなど、コンピュータ等の電子機器を駆使したメディア芸術は、まさに芸術と科学技術の融合領域であると言えます。これはわが国が得意としている文化の魅力を世界に向けて発信するためにも、またわが国のこの分野の産業競争力を高めるためにも重要な領域になりつつあり、このような芸術にも関わる研究領域が本年度から設定されたことは、わが国の科学技術の研究開発において画期的なことであると考えております。
デジタルメディア作品の質の大幅な向上を図るためには、芸術的な感性だけでなく、作品の創造を支える科学技術の研究開発が必須です。この観点から本研究領域では、メディア芸術作品の制作を支える先進的・革新的な表現手法、これを実現するための新しい基盤技術を創出する研究を対象としました。
本研究領域の公募に対し、チーム型研究(CRESTタイプ)では65件の応募がありました。その内訳は、国立・私立大学が81%、独立行政法人、公益法人が8%、民間企業が11%でした。これらの応募に対して、基盤技術、メディアアート、アニメ・映画、ゲーム、放送・ネットワーク等の分野の第一線で活躍しておられる8名の領域アドバイザーと共に厳正な審査をおこないました。
審査は、まずそれぞれの提案について書類審査をおこない、そのうち特に内容の優れた12件を対象として面接選考を実施しました。その結果、本年度は4件の提案が採択され、応募に対して15倍以上の高い競争率になりました。
なお、今回の選考に際しては、研究の狙い、新規性、独創性、研究計画、研究実施体制などの項目に加えて、コンテンツ制作者やメディアアーティストとの協働が期待できること、実際の制作現場においてデジタルメディア作品制作の高度化に資する基盤技術であることなどが重視されました。
その観点から、基盤技術の研究者が中心となった提案で、従来の大学の研究室での研究のそのままの延長であるかのような印象を与えたものは、低い評価となりました。また、メディア芸術やコンテンツの関係者が中心となった提案で、基盤技術の研究開発課題が明確でないものも、高い評価が得られませんでした。
一方で、日本のデジタルメディア作品の制作体制を効率的なものに一新させ、さらに近未来の多様な映像表現創成に不可欠となる基盤技術を構築するという提案などが高い評価を得ました。また、今回の応募をきっかけとして、基盤技術の研究者とメディア芸術、コンテンツ制作者の間で新たに共同研究体制が組まれた提案も少なからずあり、その将来の発展が期待されました。ただ、本研究領域が新しい分野だけに、課題の絞り込みや実施体制などに準備不足の提案も目立ちました。また地域的な広がりも残念ながら不十分でした。これについては次年度以降の優れた応募に期待したいと考えております。
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