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別紙1

平成27年度 新規研究代表者および研究開発課題の概要と総評

研究代表者 所属機関・役職 研究開発課題名 研究開発課題概要
石濱 泰 京都大学
大学院薬学研究科
教授
プロテオーム統合データベースの構築

国内外に散在している種々のプロテオーム情報を標準化・統合・一元管理し、多彩な生物種・翻訳後修飾・絶対発現量も含めた世界初の横断的統合プロテオームデータベースjPOST(Japan ProteOme STandard Repository&Database)を開発し、ライフサイエンス統合データベースに欠けている「たんぱく質」という必要不可欠な生命素子情報を広く国内外に公開することを目指す。

大浪 修一 理化学研究所
生命システム研究センター
チームリーダー
生命動態情報と細胞・発生画像情報の統合データベース

生命動態システム科学のデータベースの統合を発展させるため、統合データフォーマットやデータベースツールの充実化、新規データの統合を図りつつ、当分野の研究手法のより広い生命科学研究への適用を促進することを目指し、細胞生物学と発生生物学の画像データの当分野の統合データベースへの統合を進める。さらに、他の統合データベースとの連携の深化、国際的な連携体制の構築やデータベース管理の効率化も実施する。

<総評> 研究総括:長洲 毅志(エーザイ株式会社 プロダクトクリエーション本部 ポートフォリオ戦略・推進部 顧問)

統合化推進プログラムは国内に散在するライフサイエンス系データベースの統合化を目指すものであり、バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)の重要な活動の1つです。言うまでもなく、ライフサイエンス分野の研究は急速な技術革新により、そのやり方自体が大きく変わってきました。仮説駆動型だけでなくデータ駆動型と言われるような進め方が増えてきたのです。その研究を動かすためには急速に蓄積されるデータを効率よく活用することのできるデータベースの構築が極めて重要になります。従来、生産されたデータを解析すればそれで終了という形が多かったのですが、過去のデータとの比較検証や他分野の類似研究との比較など多くの解析が必要になっており、産出データをデータベース化することは研究の前提になってきました。さらに、産出データ量はその研究母体の研究対象を大きく凌駕しており、研究の効率性の面からもデータをオープンにして知識を搾り取るというオープンサイエンスの要請が強くなってきたのです。既に本プログラムのもとでゲノムやたんぱく質といった階層、あるいは細菌やヒトなどといった生物種など色々な切り口でデータベースが統合されつつありますが、さらなる統合化を求めて、研究開発提案を募集しました結果、8件の応募がありました。

今回は特に、新しい生物学的発見やヒトへの応用の可能性を持つものを目指し、網羅性の観点から欠かせぬ重要分野、異分野との融合を可能とする提案といった観点を重視して、研究アドバイザーの先生方のご協力のもとで選考を進めました。新規分野の応募も多く、選考に苦労しましたが、書類選考で4件に絞り面接選考を行った結果、網羅性の観点からも重要分野であり、広く他の分野との融合を企図した提案をされた2件を採択としました。

以上