JST(理事長 中村 道治)は、国際科学技術共同研究推進事業(SICORP)注1)「日本-フィンランド共同研究」において、フィンランドアカデミー(AF)注2)およびフィンランド技術庁(Tekes)注3)と共同で「高齢者のアクセシビリティおよび支援のための情報システム」に関する3件の共同研究課題の募集および審査を行い、平成26年度新規課題として以下の3件を決定しました(別紙1)。
(1) 「感情・気分情報の次世代ライフログ:多種センサネットワークと機械学習」
(研究代表者:国際電気通信基礎技術研究所 認知機構研究所 主任研究員 川鍋 一晃、
ヘルシンキ大学 計算機科学科 教授 アーポ・ヒバリネン)
本研究は、高齢者の感情や気分を生体・環境センサデータから推測し、継続的に記録する「次世代ライフログ」技術を構築し、高齢者の健やかな生活を心理面からサポートする情報システムの実現を目指すものです。
(2) 「高齢者のためのユーザインタフェースデザイン」
(研究代表者:高知工科大学 工学部 教授 任 向実、
アールト大学 電気工学系研究科 准教授 アンティ・オーラスウィアタ)
本研究は、画面上のソフトボタンを押す触覚などを備えた入力操作性を向上するソフトウェア、手や目の動きを察知しユーザインタフェースデザインを最適化したソフトウェアを開発・統合し、高齢者の認知機能・運動能力に適応したスマートフォン用の新しいユーザインタフェースを研究するものです。
(3) 「安全・安心・満足に資する高齢者支援技術 -高齢者と介護関係者をつなぐデジタルーヒューマンネットワークの構築」
(研究代表者:産業技術総合研究所 サービス工学研究センター 研究員 渡辺 健太郎、
フィンランド国立技術研究センター(VTT) ビジネス・エコシステム部門 リサーチプロフェッサー マリア・トィフォネン)
本研究は、日本とフィンランドの高齢者介護サービスの比較調査、および支援技術の事例研究に基づき、高齢者支援・介護支援のための情報通信・ロボット技術の統合的な開発・導入・評価手法を提案することを目指すものです。
今回の選考では、応募のあった16件について、日本とフィンランド双方の科学技術の発展を目的として、日本側およびフィンランド側の専門家による評価を行い、その結果をもとにJST、AFおよびTekesが慎重に評価・協議を行い、採択課題を決定しました。
今回採択した各研究チームは、日本とフィンランドの研究者グループで構成され、研究アプローチや独創性、チームの相乗効果や研究分野に与える影響などさまざまな評価基準を考慮し、選出されました。研究期間は支援開始から3年間を予定しています。