A-STEP(Adaptable and Seamless Technology Transfer Program through Target-Driven R&D)は、国民経済上重要な科学技術に関する大学・公的研究機関など(以下、「大学など」※1と言う)で生まれた研究成果を基にした実用化を目指すための研究開発フェーズを対象とする技術移転支援プログラムです。
A-STEPは、大学などにおける研究成果の中から技術移転の可能性を探索するフェーズ、シーズ候補を企業の視点から掘り起こしてシーズとしての可能性を検証し、顕在化させるなど実用化に向けた初期のフェーズから、顕在化したシーズの実用性を検証する中期のフェーズ、また、研究成果をもとにしたベンチャー起業により実用化を目指すフェーズ、さらに製品化に向けて実証試験を行うため企業主体で企業化開発を実施する後期のフェーズまで、それぞれの研究開発フェーズの特性に応じた複数の支援タイプにより実施しており、「フィージビリティスタディ(FS)ステージ(ステージⅠ)」、「産学共同促進ステージ(ステージⅡ)」、「実用化挑戦ステージ(ステージⅢ)」、および「起業挑戦ステージ」の4つのステージから構成されています。
※1 「大学など」とは、国公私立大学、高等専門学校、国立試験研究機関、公立試験研究機関、研究開発を行っている特殊法人、独立行政法人、公益法人(非課税の法人に限る)などを言います。
A-STEPでは、「産学共同促進ステージ」、「実用化挑戦ステージ」および「起業挑戦ステージ」において、各種支援をシームレスな形で実施するため、支援タイプが切り替わるタイミングにおいて、ステージゲートを設けて評価を実施します。ステージゲート評価においては、それまでに実施した支援タイプでの研究開発の進捗状況、成果の内容などを把握するとともに、次の支援タイプにおける研究開発目標の妥当性並びにシーズの新規性などの観点から、支援継続の是非を判断します。その際、継続課題についての絶対評価を行うとともに、同時期に新規で申請される提案課題との相対評価により審査を行います。
支援タイプ名 | FSステージ | 産学共同促進ステージ | |
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シーズ顕在化タイプ | ハイリスク挑戦タイプ | シーズ育成タイプ | |
支援の目的 | 産業界の視点から見いだされた、大学などの研究成果に潜在しているシーズ候補について、産学共同で企業ニーズにつながるシーズとなる可能性の有無を検証する | 大学などのシーズの実証試験までの研究開発フェーズを対象に、研究開発リスクのより高い課題を支援 | 大学などのシーズの実用性検証フェーズにおいて、中核技術の構築を目指した産学共同研究開発を支援 |
申請者の要件 | 大学などの研究者と企業の共同申請 | 開発実施企業と大学などの研究者 | 開発実施企業と大学などの研究者 |
研究開発期間 (原則) |
原則1年間 | 最長3年間 | 最長4年間 |
研究開発費の総額 (間接経費込) (原則) |
基準額800万円 (~1,000万円まで) |
6,000万円まで (マッチングファンド形式) |
2億円まで (マッチングファンド形式) |
支援タイプ名 | 実用化挑戦ステージ | ||
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実用化挑戦タイプ | |||
中小・ベンチャー開発 | 創薬開発 | 委託開発 | |
支援の目的 | 大学などのシーズについて、研究開発型中小・ベンチャー企業での実用化開発を支援 | 大学などのシーズについて、革新的な医薬品などの実用化開発を支援 | 大学などのシーズについて、開発リスクを伴う大規模な実用化開発を支援 |
申請者の要件 | シーズの発明者・所有者の了承を得た開発実施企業(資本金10億円以下)と大学などの研究者 | シーズの発明者・所有者の了承を得た開発実施企業(資本金300億円以下)と大学などの研究者 | シーズの発明者・所有者の了承を得た開発実施企業と大学などの研究者 |
研究開発期間 (原則) |
最長5年間 | 最長5年間 | 最長7年間 |
研究開発費の総額 (間接経費込) (原則) |
3億円まで 売上げに応じて実施料納付 |
10億円まで 売上げに応じて実施料納付 |
20億円まで 売上に応じて実施料納付 成功時全額 不成功時10%返済 |
支援タイプ名 | 起業挑戦ステージ | ||
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起業挑戦タイプ | |||
検証試験※2 | 若手起業育成 | ||
支援の目的 | 大学などの研究成果に基づくベンチャー企業の設立に向けた研究開発の実施に先立ち、起業の可能性の有無を検証 | 大学などのシーズに基づく、成長力あるベンチャー企業設立のための研究開発を支援 | 起業意欲のある若手研究者による、自らの研究成果の実用化を目指した研究開発を支援 |
申請者の要件 | (大学などの研究者と起業家と起業支援機関の3者)※2 | 大学などの研究者と起業家と起業支援機関の3者 | 大学などの若手研究者と同機関の起業支援機関 |
研究開発期間 (原則) |
原則1年間 | 最長3年間 | 最長3年間 |
研究開発費の総額 (間接経費込) (原則) |
基準額800万円 (~1,000万円まで) ※起業支援経費含む |
1億5千万円まで 別途、側面支援経費として 1,500万円まで |
4,500万円まで 別途、起業支援経費として300万円まで |
※2 起業挑戦タイプ応募課題のうち、起業挑戦タイプの採択のレベルには達しないものの一定の評価が得られた応募課題に関して、起業挑戦タイプ(検証試験)として採択する。