JST(理事長 中村 道治)は、 インド科学技術部(DST)注1)と共同で「バイオ医学研究」に関する課題の募集および審査を行い、3件の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注2)「日本-インド研究交流」注3)の一環として行われるものです。支援を決定した課題は次のとおりです。
(1)「細菌感染にて誘導される反応性関節炎の炎症アンプ活性化の修飾による新規診断法の開発」
(研究代表者:北海道大学 遺伝子病制御研究所 村上 正晃 教授、サンジャイ・ガンジー医科学大学院 臨床免疫学部 ラマス・ミスラ 学部長・教授)
本研究交流は、発展途上国で問題となっている細菌感染後の反応性関節炎の確定診断法を開発して、さらに、治療法の可能性を提案することを目指すものです。
(2)「インドにおける高品質迅速診断キットの普及によるデングウイルス、チクングニアウイルス及びインフルエンザウイルスなどのウイルス感染症に対する鑑別診断法の精度向上」
(研究代表者:大阪大学 微生物病研究所 黒須 剛 助教、バードマン・マハビル医科大学 微生物学部 ラジニ・ガインド コンサルタント、遺伝子工学バイオテクノロジー国際センター 耐虫性グループ スジャータ・スニル 科学研究員)
本研究交流は、デングウイルス、チクングニアウイルス、およびインフルエンザウイルス感染症の簡易迅速診断キット開発を通じて、臨床現場へ診断キットを普及させることで、疫学的調査を行い、防疫に有益な診断基盤体制の構築を目指すものです。
(3)「三日熱マラリアの重症化におけるTLRの役割と重症化を予知する早期診断技術の開発」
(研究代表者:杏林大学 医学部 小林 富美恵 教授、医学教育・研究大学院(PGIMER) 医寄生虫学部門 ラケシュ・シガール 教授)
本研究交流は、マラリア重症化の早期診断技術の開発に向けて、良性マラリアの重症化におけるTLRなど宿主因子の役割を解明することを目指すものです。
今回の研究交流課題の募集では13件の応募があり、これらの応募課題を日本側およびインド側の専門家により評価しました。その結果をもとにJSTおよびDSTが協議し、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本とインドがともに支援すべきとして合意した3件を支援課題として決定しました。日本側とインド側とも平成26年7月以降に支援を開始し、研究期間は支援開始から3年間を予定しています。