JST(理事長 中村 道治)は、 英国医学研究会議(MRC)注1)と共同で「先端健康科学」分野の中の「次世代光学顕微法を利用した神経科学・病因解明につながる分子メカニズムへの挑戦」に関する課題の募集および審査を行い、以下の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注2)「日本-英国研究交流」注3)の一環として行われるものです。
支援を決定した課題は次の通りです。
(1)「神経変性疾患によるシナプス形成能劣化の1分子イメージング解明」
(研究代表者:京都大学 物質-細胞統合システム拠点 楠見 明弘 教授、ライセスター大学 MRC毒物学ユニット ジョヴァンナ・モルッチ プログラムリーダー・教授)
本研究は、超高速1分子追跡技術などを用い、神経変性疾患におけるシナプス可塑性変化の機構を解明することを目指すものです。
(2)「シナプスオプトジェネティクスによる正常・精神疾患モデル動物の大脳記憶回路の研究」
(研究代表者:東京大学 大学院医学系研究科 疾患生命工学センター 構造生理学部門 河西 春郎 教授、カーディフ大学 神経科学部門 ケヴィン・フォックス 教授)
本研究は、記憶を担うシナプスを標識する技術を用いて脳の記憶回路を可視化し、統合失調症や知的障害におけるシナプスの状態を解明することを目指すものです。
今回の「日本-英国研究交流」に関する募集では8件の応募があり、これらの応募課題を日本側および英国側の外部専門家により評価しました。JSTとMRCはその結果をもとに協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本と英国がともに支援すべきとして合意した2件を支援課題として決定しました。研究期間は支援開始から3年間を予定しています。