JST(理事長 中村 道治)は、フィンランドアカデミー(AF)注1)およびフィンランド技術庁(Tekes)注2)と共同で「メディカルサイエンス」分野の中の「バイオインフォマティクスを活用したメディカルゲノミクス」に関する課題の募集および審査を行い、以下の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注3)「日本-フィンランド研究交流」注4)の一環として行われるものです。
支援を決定した課題は次の通りです。
(1)「ゲノミクス・バイオインフォマティクスを活用した難治性卵巣癌細胞システムの理解と治療候補薬の探索」
(研究代表者:東京医科歯科大学 難治疾患研究所 稲澤 譲治 教授、ヘルシンキ大学 分子医学研究所 オリ・カリオニーミ 教授)
本研究は、卵巣がんをモデルとしてバイオインフォマティクス・パイプラインを構築し、難治性卵巣がん治療効果の向上とがん個別化治療の確立を目指すものです。
(2)「個別化医療を実現するプライバシー保護ゲノム情報解析」
(研究代表者:産業技術総合研究所 生命情報工学研究センター 清水 佳奈 主任研究員、ヘルシンキ大学 情報技術研究所 アンティ・ホンケラ アカデミーリサーチフェロー)
本研究は、秘密計算技術の応用により、プライバシーを保護したまま実用的な速度でゲノムの情報解析が可能な新技術の開発を目指すものです。
(3)「心不全に対する再生医療におけるバイオインフォマティクスデータベースの構築」
(研究代表者:大阪大学 大学院医学系研究科 澤 芳樹 教授、ヘルシンキ大学 生物医学研究所 エスコ・カンクリ 講師)
本研究は、心不全に関する再生医療で得られた知見を集約し、世界中からアクセス可能なバイオインフォマティクスデータ基盤の整備を目指すものです。
今回の「日本-フィンランド研究交流」に関する募集では14件の応募があり、これらの応募課題を日本側およびフィンランド側の外部専門家により評価しました。JSTとAFおよびTekesはその結果をもとに協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本とフィンランドがともに支援すべきとして合意した3件を支援課題として決定しました。研究期間は支援開始から3年間を予定しています。