JST(理事長 中村 道治)は、ブラジル国家科学技術開発審議会(CNPq)注1)と共同で「ナノバイオテクノロジー」に関する3件の研究交流課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注2)「日本-ブラジル研究交流」注3)の一環として行われるものです。支援を決定した課題は次のとおりです。
(1)「骨融合インプラントのチタン材料表面の生体機能化」
(研究代表者:東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 塙 隆夫 教授、サンパウロ州立パウリスタ大学 科学科 バウル校 ルイス・ロカ 教授)
本研究交流は、日本-ブラジル間共同研究によって、骨組織融合次世代多機能チタン基表面、特に骨芽細胞を強固に接着し同時に微生物付着を最小限に抑える生体機能選択性をもつ表面を得る技術の開発を目指すものです。
(2)「アマゾンフルーツのナノサプリ開発:老化と健康に及ぼす栄養ゲノミクスおよび栄養遺伝学的影響」
(研究代表者:首都大学東京 大学院理工学研究科 相垣 敏郎 教授、サンタマリア連邦大学 健康科学センター イヴァナ・クルツ 教授)
本研究交流は、アマゾン原産果実が有する機能性を分子、細胞、個体レベルで解明することによって、生活習慣病の予防や健康寿命の延長に有効なナノサプリメントの開発を目指すものです。
(3)「肥満・糖尿病モデル動物におけるプロポリス由来機能性化合物の有効性検証」
(研究代表者:中部大学 応用生物学部 応用生物化学科 禹 済泰 教授、サンパウロ大学、サンパウロ州立パウリスタ大学 薬学科 バストス・ジャイロ・ケヌップ 教授)
本研究交流は、ブラジル産グリーンプロポリスから肥満や糖尿病を予防、改善するナノ機能性食品素材を開発するための科学的な根拠を得ることを目指すものです。
今回の研究交流課題の募集では13件の応募があり、これらの応募課題を日本側およびブラジル側の専門家により評価しました。その結果をもとにJSTおよびCNPqが協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本とブラジルがともに支援すべきとして合意した3件を支援課題として決定しました。日本側とブラジル側とも平成26年1月に支援を開始し、研究期間は支援開始から3年間を予定しています。