| 1. | 研究の概要 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| エントロピーは、系の秩序・規則性を表す物理量です。化学反応の速度と平衡がエンタルピーとエントロピーの両者によって決まることは周知ですが、従来の化学ではエンタルピー項の方に力点が置かれ、エントロピー項の寄与は小さいと考えられてきました。それは、長い歴史をもつ均一系における熱的な化学反応の収率や選択性の多くがエンタルピー項で説明できたからです。ところが私たちは、温度の支配を受けにくい電子的な励起状態を経由する光化学反応や内部に秩序構造をもっている超分子系など従来の化学が対象としてこなかった領域において、エントロピー関連因子が化学反応の速度や平衡に対してエンタルピー項以上に大きな影響を及ぼすことをこれまでの研究で明らかにしてきました。現在、さらに広範な化学反応系における「エントロピー制御」の可能性とその機構の解明、ならびにそれを用いた生成物の組成や収率、立体構造などの積極的制御を目指して研究を続けています。 本共同研究では、とくに光化学と超分子化学の分野に焦点を絞り、さまざまな系におけるエントロピー因子の役割を解明し、それを積極的に反応と平衡の制御に利用する研究を行っています。それは、これらの系では非共有結合性の「弱い相互作用」が重要な働きをすると考えられるからです。そのために、日本側が得意とする光化学(光エネルギーの吸収により反応が進行する励起状態化学)と、韓国側が得意とする超分子化学(分子間力によって形成される分子組織体ではじめて発現する基底状態化学)の分野で「エントロピー制御」化学の創成を目指して研究を進めています。 さらに、共同研究の利点を活かして、両分野の融合領域である「超分子光化学」の開拓にも取り組み、キラル化合物の光化学的合成、キラルナノ空間の創出、高度の構造制御された超分子錯体の創成、天然あるいは人工超分子の低エントロピー環境を利用したキラル光反応の自在なコントロールや、超分子キラリティー発現の原理の発見、ならびに超分子の自由度の変化を利用した高感度キラリティーセンサーの開発などに結びつく成果を得ています。 将来、エントロピー制御が効果的な穏和な条件での反応設計、キラル化合物などの新しい有用資源の開発、超分子ナノ機能材料の創成をはじめ、エントロピー因子の寄与が大きい水や超臨界流体を反応媒体とする環境調和型反応システムの構築などへの展開が期待されます。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 2. | 研究体制と参加研究者 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
○研究体制
○参加研究者(中間評価時までの累計人員)
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| 3. | 研究成果の概要 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
○特許出願件数(中間評価時まで)
○外部発表件数(中間評価時まで)
○発表主要論文誌 J. Am. Chem. Soc./Angew. Chem., Intl. Ed/J. Org. Chem./J. Phys. Chem. 主な研究成果
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| 4. | 今後の研究の進め方 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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