第2部 評価結果


おわりに
委員会は、評価対象となる事業をその性格ごとに個別に分析、評価した。その結果、それぞれの事業ごとに改善点や検討すべき課題を指摘したが、全体として事業団は様々な制約の下で、これらの事業に誠実かつ上手く取り組んでいると評価できる。
今回の評価は先ず事業団の過去の実績を対象とし行ったが、評価の過程で委員会としては、明日の姿を考えることが重要ではないかという認識を次第に深めるようになった。
その第1の理由は、我が国の科学技術情報流通政策が先進諸国に比べるとまだ見劣りする段階にあることである。事業団は我が国の直面する課題の解決に寄与できる数少ない国の機関であり、大きな可能性を秘めている。しかし、現在のところその強みは十分認識されていない。
第2の理由は、インターネットに象徴される情報科学技術の急激な発展により科学技術情報流通のあり方が急激に変化していることである。こうした変化は、今回評価の対象としたほとんどの事業に大きな影響を及ぼすようになってきている。
第3の理由は、2001年に予定されている省庁再編等の行政改革の影響である。改革の実現後はワンストップショッピング的な機能の実現をはじめとして、真に省庁横断的な情報流通施策がとられなければならない。
現在起きつつある情報科学技術の大変革と国家レベルの仕組みの大きな変化を考えると、事業団の使命とその仕事に大きな変化が早晩起きることは明らかであり、今回明らかにした問題意識は暫くは古くならないかもしれないが、提言の多くは、直ぐ見直しが必要になるだろう。さらに、現在保有している人材、施設、予算によって全く新しく事業を考えるなら、今とは異なる目標の設定や進め方がありうるであろう。それ故に、事業団は事業運営と技術面で、外部の識者による事業の見直しを継続的に続ける体制を考えるべきである。

This page updated on June 15, 2000

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