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平成28年4月28日

大阪大学
科学技術振興機構(JST)

大阪大学における JST 大学発新産業創出プログラム(START)からの第1号ベンチャー
アンチエイジングペプタイド(株)設立

~化粧品・育毛剤などへの応用を目指した創薬事業を展開~

ポイント

大阪大学 大学院医学系研究科 健康発達医学寄附講座の中神 啓徳 寄附講座教授らは、大学発ベンチャーとして、アンチエイジングペプタイド株式会社(AAP)(代表取締役社長:橋弥 尚孝)を平成28年4月27日に設立しました。同社は大阪府茨木市彩都を拠点とし、開発中の新規機能性ショートペプチドを活用した化粧品・育毛剤などを最終商品とするショートペプチド注1)設計・製造プラットフォーム注2)事業を展開します。同社の設立は、中神寄附講座教授の技術の事業化を目指した科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業大学発新産業創出プログラム(START)注3)の研究開発成果を活用するものであり、バイオ・サイト・キャピタル株式会社(代表取締役:谷 正之)を事業プロモーターとして起業準備を進めてきました。

今後アンチエイジングペプタイド株式会社(AAP)は、バイオ・サイト・キャピタル株式会社からの支援を受けながらペプチドの化粧品化事業を皮切りに育毛剤などの事業育成を進め、大学等の研究成果の社会還元を目指します。

<設立の背景>

中神寄附講座教授らは、平成17年に発見した新規機能性ペプチドによる線維芽細胞の活性化、血管新生などの多彩な機能に着目し、それぞれの機能に特化した複数の改変型ペプチドの創出に成功しています。平成25年に文部科学省の大学発新産業創出拠点プロジェクトに中神寄附講座教授らが応募した「アンチエイジング効果のあるショートペプチドを用いた化粧品・育毛剤の開発-ペプチドのプラットフォームテクノロジーの開発-」が採択され、それを機に機能性ペプチドの事業化に向けた取り組みを開始しました。平成25年度から平成27年度の3年間の開発期間で、機能性ショートペプチド候補を複数配列設計して化粧品としての安全性・有用性の総合評価を実施しました。さらにアンチエイジングの観点から肌の潤い・張り、活性化が期待できる候補ペプチドをヒアルロン酸合成能(肌への潤い)並びにコラーゲンの収縮能(しわ取り)などを指標に見いだしました。

これらの有望なペプチドに関してはすでに複数の化粧品会社とも共同研究開発を行っており、その中には平成29年の商品化を目指した研究開発を進めているペプチドも含まれています。今後はさらに育毛剤などの他機能も有する機能性ペプチドの研究開発を進めていく予定です。

<本ベンチャーが社会に与える影響(本研究成果の意義)>

超高齢化社会の日本では美容・ヘアケアなどのアンチエイジング市場は拡大傾向にあり、科学的な根拠に基づく新規商品の開発が望まれています。中神寄附講座教授らが創生した機能性ペプチドおよびその改変体は大学での機能評価において多彩な活性を有しており、この機能をうまく生かして新しい角度からの化粧品・育毛剤開発を生み出す原動力になると考えます。

アンチエイジングぺプタイド株式会社について

社名 アンチエイジングぺプタイド株式会社(略称:AAP)
設立 平成28年4月27日
本社 大阪府茨木市彩都あさぎ7丁目7番15号
資本金 150万円
事業内容 化粧品、医薬品の機能性ペプチドの開発、原材料の販売ほか
役員 代表取締役社長 橋弥 尚孝
取締役 中神 啓徳(CSO)
取締役 谷 正之(CFO)
監査役 長井 泰国

<用語解説>

注1) ショートペプチド
ペプチドとは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合により縮合してできた化合物の総称。本プロジェクトにおけるショートペプチドとは、5-20残基の天然あるいは非天然アミノ酸からなるペプチド群をいう。
注2) 設計・製造プラットフォーム
化粧品などのさまざまな用途のショートペプチド開発に利用できる技術基盤。
注3) 大学発新産業創出プログラム(START:Program for Creating STart-ups from Advanced Research and Technology)
日本の大学などの基礎研究成果に関し、大学等発ベンチャーなどを通じた新規マーケットへの事業展開が十分に行われていない現状を踏まえて、平成24年度より文部科学省により大学発新産業創出拠点プロジェクトとして創設され、平成27年度よりJSTが実施している制度です。本制度では、事業化ノウハウを持った人材(事業プロモーター)ユニットを活用して、大学などのポテンシャルの高いシーズの事業化を通じて新産業の創出、新規マーケットの開拓を目指します。大学等発ベンチャーの起業前段階から公的資金と民間の事業化ノウハウを組み合わせることにより、事業戦略・知財戦略を構築しつつ、既存企業にはリスクの負えないポテンシャルの高いシーズの事業化への挑戦を支援しています。

<お問い合わせ先>

<アンチエイジングペプタイド株式会社に関すること> 

中神 啓徳(ナカガミ ヒロノリ)
大阪大学 大学院医学系研究科 健康発達医学寄附講座教授
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2番2号
Tel:06-6210-8359 Fax:06-6210-8360
E-mail:

<JST 大学発新産業創出プログラムに関すること>

東出 学信(ヒガシデ タカノブ)
科学技術振興機構 産学連携展開部 START事業グループ
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
Tel:03-5214-7054 Fax:03-3238-5873
E-mail:

<報道担当>

科学技術振興機構 広報課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
Tel:03-5214-8404 Fax:03-5214-8432
E-mail: