JSTトッププレス一覧共同発表 > 用語解説

<用語解説>

(注1)シナプス:
神経細胞同士が情報を伝達する場所です。プレ(前)シナプス中にはシナプス小胞(後述)が詰まっています。図1参照。

(注2) 神経伝達物質:
シナプスにおいて神経活動を介在する物質です。神経細胞内のシナプス小胞に含まれています。主なものに、アセチルコリン、グルタミン酸、グリシンなどがあります。

(注3)シナプス小胞:
脳内で神経同士が情報をやり取りする際に必要な神経伝達物質を含んだ非常に小さな袋です。 前シナプスに存在する直径40ナノメートルほどの球形の構造体で、内部には神経伝達物質を含んでいて、シナプス小胞が前シナプスの膜と融合したあと、シナプス小胞から神経伝達物質が放出されます。

(注4) アクティブ・ゾーン:
神経回路網のつなぎ目である前シナプスに存在する特殊な構造体です。アクチンやスペクトリンといった細胞内の骨組みを作るタンパク質が多数集まり電子密度が高いために、電子顕微鏡で観察すると周囲に比べて黒っぽく観察されます。シナプスにおける情報伝達の場所とタイミングを決める重要な構造体と考えられています。

(注5)ユビキチン・プロテアソーム系:
タンパク質分解のしくみの1つで、生体内で不要となった標的タンパク質に、一連のユビキチン付加酵素群によりユビキチンを付加され、次に付加されたユビキチンが分解の標識となってプロテアソーム内で分解されるしくみ(図2参照)。この発見により、イスラエル工科大学のアーロン・チェハノバ教授、同アブラム・ヘルシュコ教授、カリフォルニア大学アーバイン校のアーウィン・ローズ博士が2004年ノーベル化学賞を受賞しました。

(注6) RIM1:
アクティブ・ゾーンに豊富に存在するタンパク質で、アメリカのSudhof博士らによって1997年に発見されました。現在、いくつか見つかっているアクティブ・ゾーンタンパク質の中で、最も解析が進んでいるタンパク質です。RIM1の遺伝子を破壊したマウスの研究から、RIM1が学習や記憶の形成、また恐怖などの情動の発現において重要な働きをしていることが明らかになっています。