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<補足説明>

※1 スプライソスタチンA とFR901464
FR901464は、微生物が作り出す抗がん剤候補化合物として発見されていた化合物で、その一部を改変した化合物がスプライソスタチンA。スプライソスタチンAはFR901464と比べ安定性が高いため、実験上使いやすい。

※2 ケミカルバイオロジー的手法
有機化学的手法により生命現象を明らかにしようとする手法。例えば、今回の発表のように優れた活性を示す小分子化合物を有機合成により改変し、それを利用して標的分子の同定や機能解明を目指すもの。有機化学を出発点とする点で、通常の生化学的手法とは区別する。

※3 ビオチン
ビタミンB群に分類されるビタミンの一種。ストレプトアビジンとの結合性を利用し、生化学的実験でよく用いられる。また、昔から皮膚病の治療薬としても用いられており、レバーや大豆などに多く含まれる。

※4 ストレプトアビジン
Streptomyces avidini という放線菌の一種である微生物から取られたタンパク質。非常に強くビオチンと結合するため生化学的実験でよく用いられる。その類似体であるアビジンは卵白に多く含まれる。

※5 ノーザンブロット解析
RNAを検出する手法。RNAの量や大きさを調べるために行う。細胞からRNAを抽出し、ふるいの原理でアガロース(寒天)ゲルにより大きさで分け、その後、メンブレン(薄い膜)へと写し取る。その後、目的のRNAと結合するRNAもしくはDNAを、放射線などで印を付け(プローブと呼ぶ)、そのプローブと結合するRNAを検出する。DNAを検出する方法は発明者の名前からサザン法と言われており、それをもじって名前がつけられた。

※6 FISH法
Fluorescence in situ hybridization法の略。目的のDNAやRNAの細胞内での位置を観察する方法。目的のDNAやRNAに相補的に結合する核酸を蛍光で印をつけ(プローブと呼ぶ)、そのプローブと結合するDNAやRNAの細胞内の位置を光学顕微鏡で観察する。

※7 siRNA
あるmRNAと相補的に結合するRNAを導入し、そのmRNAを分解することにより、その働きを阻害する「RNA干渉法」に用いられる短いRNA。動物細胞でよく用いられているのは、働きを阻害したい遺伝子と結合する21~23塩基の二本鎖RNAを細胞内に取り込ませて、分解を促進するものである。この機構は分裂酵母からヒトまで幅広い生物に保存されている。