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【用語解説】

(注1)胚性幹(ES)細胞(Embryonic stem cell):
 受精後1週間前後の胚から樹立される幹細胞で、成体に存在するすべての細胞へと分化できる多能性(万能性)を維持したまま、ほぼ無限に増殖が可能な細胞。ES細胞は1981年にマウスにおいて樹立され、1998年にはヒトでも樹立されました。

(注2)人工多能性幹(iPS)細胞(induced pluripotent stem cell):
 体細胞に特定因子を導入することにより樹立される、ES細胞に類似した多能性幹細胞。2006年に本研究グループにより樹立されました。

(注3)レトロウイルスベクター:
 ベクターとは、細胞外から内部へ遺伝子を導入する際の「運び屋」を指します。ウィルス由来のベクターは、遺伝子導入効率の高さから盛んに開発されてきました。ここでは、目的遺伝子をウィルスに組み込み、細胞に感染させることにより遺伝子を導入します。レトロウイルスベクターは、このウイルスベクターの一種類として確立されたもので、宿主の細胞に感染したあと、宿主のDNAのなかに入り込む性質を利用するものです。

(注4)DNAマイクロアレー:
 数万種類の遺伝子発現を同時に測定できる実験装置。半導体チップの技術を応用し作られています。

(注5)キメラマウス:
 マウス初期胚の中にES細胞などの多能性幹細胞を移植することにより誕生する、2種類の細胞に由来するマウス。毛色が茶色のマウスから作られた多能性幹細胞を、黒色マウスの初期胚に移植すると、誕生するキメラマウスは黒と茶がまだらになります。ヤギの体、ライオンの頭、そしてヘビの尾をもつ神話上の怪物"キメラ"にちなんで名付けられました。