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<用語解説>

(注1)量子もつれ合い:
 量子もつれあい(Quantum Entanglement)とは、2つの異なるシステム間で相関した状態が2つ以上あり、それらが(量子において複数の状態が同時に成立する)量子重ね合わせ状態にあることを言います。たとえば今回の研究で用いた4光子もつれ合い状態(|4,0>+|0,4>)とは、「干渉計の一方の経路(A)に4光子状態が存在し、他方の経路(B)には光子がない」という状態と、「干渉計の経路(A)には光子がなく、他方の経路(B)に4光子状態が存在する」という、全く異なる2つの状態の量子重ね合わせ状態です。

(注2)古典理論による限界:
 レーザー光などのいわゆる「古典光」を用いた場合、光位相の測定精度はその光に含まれる光子数(=光強度)nに対して1/√n が限界であり、これを「標準量子限界」と呼びます。これは、測定をn回行うと、その統計誤差が√nで与えられる事に対応しています。この標準量子限界が存在するため、一般により精度を上げるには、入射光強度を増大させるか、測定時間を増やすしかありませんでした。しかし、一般にはその両者とも技術的な限界があり、それらにより決まる「標準量子限界」により得られる精度が制限されていました。

(注3)半透鏡(ビームスプリッター):
 入射したレーザー光などの光を2つ(場合によってはそれ以上)に分割する光学装置。半透鏡に入射した光は、一部は反射し、一部は透過して分割されます。反射光と透過光の強さがほぼ1:1の場合はハーフミラーとも呼ばれます。民生品では、光ピックアップ、反射型液晶プロジェクター、光通信機器などに使われています。

(注4)干渉縞:
 干渉計の内部に設置された位相シフタによって、光路長を一様に変化させますと、出力部での光強度はサイン関数的に変化し、縞模様を形成します。これを干渉縞と呼びます。

(注5)マッハツェンダー型干渉計(図1):
 通常は、レーザー光などを入力部の半透鏡(BS1)に入射し、それが2つの経路(c,d)に分割されます。光は波でもあるので、それらの分割波が出力部の半透鏡(BS2)で合波される際に、干渉が生じます。その干渉結果は、出力eと出力fの光強度として得られ、内部に設置された位相シフタ(ps)の状態によって変化します。たとえば媒質のわずかな粗密や、重力波の通過によってもこの位相が変化し、それぞれ生物用干渉顕微鏡や、重力波干渉計に応用されています。