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<用語解説>

(注1)H1N1型のA型インフルエンザウイルス:
 A型、B型、C型と大きく3種類に分かれるインフルエンザウイルスの中で、ウイルスが変化しやすく過去に何度か世界的流行を起こしてきたA型インフルエンザウイルスは、ウイルス膜表面にある2つの糖タンパク質、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の抗原性(抗体と結合することができる性質)の違いにより、さらに細かく亜型が分類されています。現在までに、HAでは、16種類(H1からH16)、NAでは、9種類(N1からN9)の亜型が報告されています。H1N1というのは、H1亜型、N1亜型に分類されるインフルエンザウイルスのことです。H1N1型のウイルスは、20世紀に2回、人社会に侵入して大流行を起こしました。

(注2)リバースジェネティクス法:
 1999年に開発された、インフルエンザウイルスを人工合成する技術です。この技術の確立により、インフルエンザウイルスの解析やワクチン作成などの研究が飛躍的に伸びました。

(注3)マカカ属のサル(カニクイザル)とヒト:
 カニクイザルはマカカ属のサルでヒトと同じ狭鼻下目に属します。サルはマウスやラットなどの他の実験動物に比して、ヒトに最も近縁ですが、カニクイザルは、これまでに、生理学、行動学、薬理学、医学研究等に用いられ、実験動物として最も一般的に用いられているサルの一つです。このサルでは、遺伝子情報が豊富に解析されており、遺伝子資源の基盤が整っているため、今後の基礎および応用研究の発展に有用視されています。

亜目 下目 上科
霊長目 原猿亜目 キツネザル下目 キツネザル上科 キツネザル科 キツネザル、ハイイロキツネザルなど
インドリ科 インドリ、シフアカなど
アイアイ上科 アイアイ科 アイアイ
ロリス下目 ロリス上科 ロリス科 ロリス、ポットー、ガラゴなど
メガネザル下目 メガネザル上科 メガネザル科 メガネザル
真猿亜目 広鼻下目
(中南米)
オマキザル上科 オマキザル科 オマキザル、リスザル、クモザル、ホエザルなど
キヌザル
(マーモセット科)
マーモセット、タマリンなど
狭鼻下目
(アフリカ)
(アジア)
オナガザル上科 オナガザル科 マカカ、ヒヒ、ゲラダヒヒ、コロプスなど
ヒト上科 テナガザル科 テナガザル、フクロテナガザル(類人猿)
オラウータン科 オラウータン、チンパンジー、ゴリラ(類人猿)
ヒト科 ヒト

(注4)H5N1鳥インフルエンザウイルス:
 H5N1というのは、H5亜型、N1亜型に分類されるインフルエンザウイルスのことです。現在問題になっているH5N1鳥インフルエンザウイルスは、家禽に対して高い病原性を示すことが多く、稀にヒトに感染した場合においても高い致死率を示します。

(注5)サイトカイン/ケモカイン:
 サイトカインは、細胞から放出されて、免疫作用・抗腫瘍作用・抗ウイルス作用・細胞増殖や分化の調節作用を示すタンパク質の総称です。インターロイキン、インターフェロンなどを含みます。白血球やリンパ球の細胞遊走を誘導するサイトカインの一群をケモカインと称します。

(注6)インターロイキン:
 インターロイキンはサイトカインの一種で、白血球により分泌され、細胞間のコミュニケーションの機能を果たすものを言います。免疫系の機能の多くはインターロイキンが負っており、IL-6はマクロファージ(生体内に侵入した細菌やウイルスを捕食する白血球の一つ)を刺激して急性反応を誘導し、IL-8は好中球(白血球の一つで末梢血中の白血球の中で一番数が多い)の特定の方向への移動を誘導する機能を持ちます。

(注7)インターフェロン:
 インターフェロンとは、動物体内で病原体(特にウイルス)や腫瘍細胞などの異物の侵入に反応して細胞が分泌するタンパク質です。ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制、免疫系及び炎症の調節などの働きを示し、サイトカインの一種に含まれます。医薬品としてはC型肝炎や、いくつかの腫瘍の治療に用いられます。ヒトでは大きく3タイプに分けられ、タイプ1型インターフェロンは全てIFNARと言う細胞表面の特異的な受容体複合体と結合します。