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<参考図>

図1

図1 大腸菌で発見された蛋白質ジスルフィド結合形成に関わる酸化システムと還元システム

 ジスルフィド(SS)結合導入では、二つのシステインの-SH基が酸化されてSSとなります。この酸化経路は赤色の矢印で、SS結合異性化(組換え)に関わる還元経路は青色の矢印でそれぞれ示しました。SS結合導入酵素DsbAは自らのSS結合を用いてフォールディング途上の基質蛋白質のシステインペアを酸化します。その結果、還元型となったDsbAは膜酵素DsbBにより速やかに再酸化されます。DsbBは呼吸鎖複合体の成分であるユビキノンに蓄えられた酸化力を利用して自らのSS結合を創生します。一方、SS結合組換え経路では、誤った組み合わせのSS結合をジスルフィド異性化酵素DsbCが矯正します。DsbCはDsbBによって酸化されることなく、膜蛋白質DsbDの働きで還元型に保たれます。これら酸化システムと還元システムが互いにクロスすることなく役割を分担することにより、蛋白質に効率よく適切なジスルフィド架橋が形成されます。