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<用語解説>

注1) 強磁性半導体
 強磁性(磁石の性質)を示す半導体。非磁性の半導体(ヒ化ガリウムやヒ化インジウムなど)に磁性をもつ原子(マンガンなど)を高濃度(数%)混入した半導体では、正孔(プラスの電荷をもつキャリア)を介してそれぞれの磁性原子の磁気モーメントが揃い、強磁性を示すようになります。
注2) 磁壁
 強磁性体内部で磁化の方向が揃った領域(磁区)の境界。図4のように、磁壁の中では、磁気の向きが一つの磁区の磁気の方向から隣接磁区の磁気の向きへと徐々に角度を変えます。今回実験に用いた(Ga,Mn)Asにおいては、その厚さは20 nm程度です。
注3) 伝導電子のスピン
 電子は電荷という電気の源となる性質を持っていますが、もうひとつ"スピン"という小さな磁石の性質も持っています。スピンは上向きと下向きの二つの状態を取ります。通常、電流を流したとき、多くの電子が流れています(これを伝導電子と呼んでいます)が、上向きスピンの電子と下向きスピンの電子が同じ割合であるため、全体としてスピンの性質は示しません。しかし、強磁性体などに電流を流すと、磁性体内に流入した多くの伝導電子のスピンは上向き、あるいは下向きどちらかが多い状態に偏るため、スピンの性質を発揮します。この伝導電子が磁壁に流れ込むと、伝導電子と磁壁間の相互作用を生じさせます。