●トルエン、キシレン測定の重要性 | |||||||||
近年、「シックハウス症候群」と総称される住宅内装材に含まれる化学物質が原因とされる喉や眼の痛みやかゆみ、あるいはアトピー性皮膚炎の悪化といった健康被害が社会的問題となっています。その原因物質として上げられているのが、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等です。このうちトルエン、キシレンは、接着剤や塗料の溶剤として用いられています。それだけでなく、トルエンとキシレンはガソリンの添加物にも用いられているほか、工業用の溶剤として広く用いられているため、「シックハウス症候群」だけでなく、道路沿線の生活環境や工場や研究室の労働環境の安全の観点からも大変重要な物質です。したがって、これらの物質を、簡単で正確に測定する方法がかねてから求められていました。 | |||||||||
●既存の測定法の問題点 | |||||||||
トルエン、キシレンの測定法として現在用いられている方法には「標準的測定法」、「検知管法」の二種類があります。しかし、これらは次のような問題を抱えています。
| |||||||||
●本試薬・KD-TX01の特徴 | |||||||||
今回開発した試薬の特徴は次のとおりです。
| |||||||||
●本試薬の化学構造と発色のメカニズム | |||||||||
本試薬の働きを、トルエンを例にとって説明します。 本試薬をピベリジンとエタノールの混合液に溶かし(無色)、トルエン(無色)と接触させると、約30分で赤色の化合物が生成されます(図1)。赤色の強さとトルエンの量は直線関係になります(図2)。したがって、あらかじめ色見本を作っておいたり、色の強さを何らかの方法で測定すれば、トルエンの濃度を正確に割り出すことが可能です。 | |||||||||
| |||||||||
●今後の展開=文部科学省「都市エリア産学官連携促進事業」で実用化の取組み | |||||||||
・今後は、本研究成果をさらに発展させて、試薬そのものの改良(反応速度の向上など)を進めるとともに、試験紙、簡易分析キット、ハンディー型分析器、さらには本研究グループがすでに開発、商品化に成功しているホルムアルデヒド検出試薬と組み合わせた、シックハウス物質同時測定装置などさまざまな方向への実用展開に取り組みます。 ・本研究成果は、今年8月から神奈川県において実施している文部科学省「都市エリア産学官連携促進事業」の「成果育成課題」の一つです。同事業の下で、神奈川県衛生研究所(茅ヶ崎市)等の公設試験研究機関や意欲ある企業の皆さんと共同で開発に取り組んでいく計画です。 以上
| |||||||||
|
This page updated on September 18, 2003
Copyright©2003 Japan Science and Technology Corporation.