平成15年5月14日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報室)
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戦略的創造研究推進事業に係る研究者の流用疑惑についての
調査結果、措置内容及び今後の対応

1.調査結果について

 当事業団の戦略的創造研究推進事業のうち個人型研究(旧:さきがけ研究)の研究者(当時埼玉医科大学助教授:平成13年度採択課題)について、研究費の流用疑惑があるとの情報提供があり、研究者に確認しつつ、関係納入業者及び研究室の関係者に対して、聞き取り調査及び関係書類による調査を行った。
 その結果は次のとおりである。
  (1) 関係納入業者A社については、平成13年度に事業団から支払われた試薬等消耗品の支払代金の処理について、次の事実が判明した。
 1 )伝票記載と異なる消耗品が納入されていたもの884千円、2 )伝票処理されたものの、実際に消耗品の納入がなされていないもの3,117千円(このうち当該業者から研究者の個人口座に振り込んだもの1,400千円)となっており、合計額は4,001千円となる。
  (2) 関係納入業者B社については、平成13年度に事業団から支払われた試薬等消耗品の支払代金の処理について、次の事実が判明した。
 1 )伝票記載と異なる消耗品が納入されていたもの1,441千円、2 )伝票処理されたものの、実際に消耗品の納入がなされていないもの1,059千円となっており、合計額は2,500千円となる。なお、この業者については、研究者の個人口座に振り込んだ事実はなかった。
  (3) 業者から研究者の個人口座に振り込まれた1,400千円については、研究者より使途
 1 )研究に参加した者の謝金及び引っ越し費用として400千円
 2 )旅費として、研究に参加した者など研究室の関係者に支払った金額190千円
 3 )研究室の雑費として支払った金額90千円
 4 )未使用額720千円
について説明があったが、
1 )及び2 )の590千円のうち、540千円については、研究に参加した者など研究室の関係者に受領の事実を確認している。

2.措置内容

(1)研究者に対する措置
  1 )研究者の行っている研究課題については、研究を中止。
  2 )業者から研究者の個人口座に振り込まれた1,400千円及び延滞金69千円の返還。
  3 )研究者に支払った報酬のうち450千円の返還。
    ※研究者の報酬月額150千円×1/5×15ヶ月=450千円
   2 )3 )の合計1,919千円。
 なお、研究者からの申し出により、研究者に支払った報酬の全額(2,250千円)が返還されることとなった。

(2)関係業者に対する措置
  1 )事業団から支払われた金額の返還請求。
 A社は、返還金2,601千円及び延滞金128千円。合計2,729千円。
  (返還金2,601千円は、業者への振込額4,001千円から研究者に振り込んだ1,400千円を除いた額)
 B社は、返還金2,500千円及び延滞金123千円。合計2,623千円。
  2 )事業団の全事業にわたる契約・調達について、取引停止措置。
 A社、B社とも平成15年5月13日から3ヶ月間の取引停止。

(3)事業団関係者に対する措置
 事業団責任者の管理監督責任の観点から、担当専務、担当理事、担当部長及び課長(研究推進担当及び支援担当)、研究領域事務所の事務所スタッフについて、注意処分を行うとともに、担当専務に対し再発防止策を含めた必要な対策を早急に図るよう指示を行った。

3.今後の対応について

 今回の問題を踏まえ、適切な再発防止策を行うこととし、以下の対策を講ずる。
(1)研究者に対する再発防止の周知・徹底
  1 )注意文書の発出。
  2 )ブロック単位の説明会の実施。
  3 )領域会議その他研究者が集まる場で、研究総括から周知。

(2)新規領域発足時等における再発防止の周知・徹底
  1 )研究者の採択時において周知。
  2 )事務処理説明会において周知。

(3)事業本部関係者への指導及び研究室での物品確認の徹底
  事業本部関係者に対し今回の事例を説明し、物品確認マニュアルの見直しなど、再発防止の周知・徹底を図る。また、事業本部関係者が研究室に赴いて、見直しされたマニュアルに基づいた物品の確認を徹底して行う。

(4)個人型研究の経理処理システムの抜本的見直しに着手する。
以 上
*本件の詳細な内容についての問い合わせは、
 科学技術振興事業団 戦略的創造事業本部 研究支援部
 部長 藤原 正博 までお願いします。

This page updated on May 14, 2003

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