研究課題別中間評価結果(単一7)


1.研究課題名

 「次世代精密分子制御法の開発」

2.研究代表者名

 山本 尚(名古屋大学大学院工学系研究科 教授)

3.研究概要

 ルイス酸を触媒的に活用し、種々の選択的反応を進行させることを目指している。特に、キラル分子の構造制御を目的とする精密触媒の開発や構造制御された光学活性高分子の設計など、広く低分子から高分子までの有機物質の光学活性体を合成する新手法を開発しつつある。そして最終的には、キラルインダストリーの基礎技術の確立を目指し、研究を展開している。
 現在まで、価値の高い有機合成品(香料、医薬原料等)を念頭に、例えばエノラート類の不斉プロトン化や不斉アルドール化等、不斉の合成反応において、ルイス試薬等を触媒化する方法、条件を種々検討し、いくつか実用化が望める段階まで到達した。また、それらの応用として、高度に構造や反応場が、制御された中での立体特異的重合に関しても知見が得られつつある。

4.中間評価結果
4-1. 研究の進捗状況と今後の見込み
 新規なルイス酸系触媒の使用を中心とする山本教授らのグループは、合成化学の上で、非常に強力なチームであり、特に代表者独自の発想に基づく不斉触媒を用いる有機基幹反応(プロトン化、アルドール化、ディールスアルダー反応等)で、顕著な不斉収率を上げることに成功している。これら低分子合成では、当初の計画は充分に達成されていると評価される。ただ、高分子の立体制御に関する研究は、共同研究者の異動もあって、今後重点強化する必要がある。
4-2. 研究成果の現状と今後の見込み
 現状でも、難度の高い有機合成に関し、独自のアイデアを生かした成果が出ており、国内外の評価も高い。
 また、反応場の設計、触媒のリファインにより、ポリアミド類等の新しい高分子合成法を見出した。単に有機合成だけにとどまらず、高分子合成へ手法が応用されるとインパクトは相当大きい。
4-3. 総合的評価
 全体として、レベルの高い研究で、世界水準を抜く研究結果が既に得られている。この延長で、キラル高分子、立体規則性高分子等の開発が進めば、研究代表者の提唱しているキラルインダストリーも夢ではない。大いに活躍して欲しい。

This page updated on Feburary 3, 2000

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