研究課題別中間評価結果(単一2)


1.研究課題名

 極微細構造の化学設計と表面反応制御

2.研究代表者名

 岩澤 康裕(東京大学大学院理学研究科 教授)

3.研究概要

 高効率触媒、高感度・高選択性センサー、さらには次世代半導体デバイスなど先進材料を開発するには、表面反応プロセスを完全に制御する必要がある。
 本研究グループの目的は、反応条件下において、リアルスペースおよびリアルタイムで、表面現象のその場観察が可能な、最新の表面解析装置を先ず開発することにある。次に、それらの機器を駆使して、表面の化学過程を直接捕らえ、単一分子やその組織集団の挙動および反応特性に関する基本原理を原子・分子レベルで明らかにする。そして、超活性な反応サイトを創出し、表面反応プロセスの完全制御を目指している。
 今まで、表面反応プロセスを観察・解析するための新しい装置として、複合電子放出顕微鏡システム、全反射蛍光X線吸収測定装置、ピコ秒時間分解レーザー分光システム、および分子線-反射 吸収赤外分光システムの開発に成功した。また、それらを用いて、新しい触媒概念の発見と新触媒の開発にも道を拓いた。

4.中間評価結果
4-1. 研究の進捗状況と今後の見込み
 岩澤教授のグループは、日本ではもちろん、国際的にも固体触媒、表面化学の面で、最強と評されている。本研究開始後も、多種の新鋭機器を開発し、それらの機器を使っての観察計画も順調に進行している。今後、これら材料表面を瞬時に映像化しうる方法を駆使して、新しい触媒の開発や電子材料の設計が進展するものと思われる。但し、共同研究者の異動やスタッフの移籍等があったので、研究体制の整備とともに、研究の集約化が必要である。
4-2. 研究成果の現状と今後の見込み
 表面反応解析法の一つとして、六通りの観察手段(単なる表面構造ばかりでなく、表面の凸凹、元素の種類、分布、原子価、電子状態までの手段)を備えた複合顕微鏡が開発された。これにより触媒表面はもとより、電子材料部品の表面における元素分析も可能になったので、触媒や半導体の製造における再現性のコントロールなどへ今後の活用が期待される。
  総じて、現在まで表面観察等、方法の開発では、世界をリードする状況にあるが、本題の一つである触媒反応のコントロールに結びつけるには目的を絞った方向づけが要る。
4-3. 総合的評価
 既に、触媒、表面化学の分野で、世界をリードしているグループであり、国際的優位性は充分であるが、今まで開発してきた新鋭機器の複合的活用により、触媒反応の解明とそれに基づく新触媒の提唱等、インパクトある成果を期待する。

This page updated on Feburary 3, 2000

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