研究課題別中間評価結果(単一1)


1.研究課題名

 有機ゼオライト触媒を用いる反応制御

2.研究代表者名

 青山 安宏(九州大学有機化学基礎研究センター 教授)

3.研究概要

 「有機ゼオライト」とは、有機物を骨格とした空孔と、それに発する機能を持つ物質をいい、前例のない研究テーマである。ここで骨格の構成成分が有機分子であるが故に、分子間相互作用が制御可能となり、それをもととして、分子を集積した多孔質の新規な固体触媒の創製を目的としている。
 当初は、有機分子の水素結合等を用いるネットワーク結成という観点で研究を開始したが、現在では、種々の判断基準を満足するゼオライト様の有機-無機複合触媒が実際に得られている。そして、これらの有機ゼオライトが、省資源、省エネルギー、廃棄物の生じない環境保全型の次世代物資変換において、極めて有効に利用できるであろうことが明らかになってきた。有機-無機の組み合わせにより、触媒以外にも、膜材料、人工酵素への展開が期待される。

4.中間評価結果
4-1. 研究の進捗状況と今後の見込み
 青山教授の提唱する有機ゼオライトは、非常に興味ある系であり、新しい展開が予想されていた。研究開始後、金属成分との組み合わせによるハイブリッド系の発見があり、この系で発現される種々の機能は当初の目標を上廻るものと評価された。触媒反応に関しても、いくつか興味のある結果が得られているが、更に、有機ゼオライトでなければ得られないインパクトの強い成果が出ると予想されるので、今後の展開に期待したい。ただ、研究体制的に、共同研究者の寄与が見えにくい。むしろ、有能なポスドクを集めての集中的な研究が望まれる。
4-2. 研究成果の現状と今後の見込み
 有機ゼオライト骨格に、金属成分を組み込んだ物質は、固体酸触媒としての機能と包接相互作用が上手くドッキングした系であり、世界を先導する成果であるといえる。今後は、基礎研究的見地からは、金属近傍の配位不飽和性を利用した研究を展開し、目的に合致したリガンドの設計を行うことにより、人工酵素等に向けて、多様な進展があると思われる。一方、基礎研究にとどまらず、実用化していく上での技術開発という点でも注力して欲しい。
4-3. 総合的評価
 当初の研究計画(狙い)と、その発展過程ですでに、国際的にも注目されるレベルの高い研究成果を上げてきているが、更に高い成果(細孔による制御系の開発、異質配位子による不斉発現、技術の実用化 等)を目指して前進して欲しい。

This page updated on Feburary 3, 2000

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