その他のお知らせ

令和元年9月9日

東京都千代田区四番町5番地3
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)

東京工業大学附属科学技術高等学校による
次世代人材育成事業(スーパーサイエンスハイスクール支援事業)における
不適切な事務処理に係る調査結果について

JST(理事長 濵口 道成)は、平成31年3月28日に国立大学法人東京工業大学(以下「東工大」という。)より、東京工業大学附属科学技術高等学校(以下「附属高校」)によるスーパーサイエンスハイスクール(以下「SSH」という。)支援事業に係る経費の執行において、JSTにおけるSSH支援事業に係る基準で支出することができない経費の支払を受けるために、講師謝金として勤務日数などを増やして請求する不適切な事務処理があったとの報告を受け、同年4月17日に公表しました。(https://www.jst.go.jp/osirase/2019/20190417.html

その後、東工大が経費執行の実態に関する調査を実施し、JSTでも全容解明に向けて一部合同で調査を進めた結果、平成20年度~平成29年度の間に3,032,420円について不適切な事務処理が行われていたことが確認されたため、JSTは、東工大に対し当該経費について返還請求を行い、令和元年8月30日付けでこの返還を受けました。

今後は、SSH支援事業に係る不適切な事務処理の再発防止に向けた取組を一層強化し、引き続き経費の適切な執行に努めてまいります。

1.東工大による調査の概要及び結果

東工大は、平成31年4月17日の本件に係る公表後、証拠書類が確認できる平成20年度~平成29年度の証拠書類などの調査を行うとともに、関係する事務職員、教員、外部講師に対する聞き取り調査を実施しました。

(1)不適切な事務処理の概要

SSH支援事業において、附属高校の経理担当者(以下「担当者」という。)が、SSH活動としての授業である英文アブストラクト作成指導に係る事業者への支払に必要な経費のうち、JSTにおけるSSH支援事業に係る基準では支払うことができない経費(一人当たり1日3時間を超える部分の謝金など)について、講師謝金に係る日数や時間を調整することにより支払われるよう、不適切な事務処理を行っていました。

この処理は、担当者がJSTに提出する要求書の証憑(ひょう)である勤務実績簿について、講師の勤務日数、時間数を増やして、JSTに支払請求を行ったものです。

なお、本件に関し私的流用はないこと、上記の事業者に支払った謝金以外の経費は、適切に執行されていることが確認されました。

(2)不適切な事務処理に基づく経費執行が確認された指定期間及び不適切な経費執行額

  • 不適切な事務処理に基づく経費執行(注)が確認された指定期間
    平成20年度~平成26年度及び平成28年度~平成29年度
    ※ 平成27年度は、自己資金により実施。なお、英文アブストラクト作成指導が開始された平成19年度においても、不適切な事務処理が行われた可能性がありますが、関係資料不存在のため、支払額を確定することができませんでした。
  • 不適切な経費執行額(注) 3,032,420円

    (注)関係資料などにより講師の実働の事実が確定できなかったものも含みます。

2.調査結果を受けたJSTにおける対応

(1)これまでの対応

JSTは、東工大に対し、1.(2)の不適切な経費執行額に遅延損害金を課して返還請求を行い、令和元年8月30日付けで3,653,810円の返還を受けました。

(2)今後の対応

JSTにおいては、JSTにおける再発防止策及び全SSH指定校・管理機関への再発防止策を以下のとおり定めたところであり、今後、これらの周知徹底を図るとともに、SSH支援事業の適切な運営に努めてまいります。

【JSTにおける再発防止策】
  • 講習会を通じた担当職員の意識の醸成及び情報共有を通じた職員相互の確認能力の向上
  • 事後確認の強化(特に講師謝金に係る経費執行)
【全SSH指定校・管理機関への再発防止策】
  • 各種説明会での周知を通じたSSH関係者に対する意識の醸成
  • 事務処理方法の改善の徹底(講師謝金に係る証拠書類の充実、高額案件への留意など)
  • 現地調査の強化及び不適切な事務処理を行った場合の措置(経費の返還、支援額の減額、共同研究契約解除など)に関する契約書などへの明記(今後、文部科学省と調整)
なお、東工大においても、以下の再発防止策を定め周知徹底を図っております。
  • 附属高校におけるSSH事業事務体制の強化(管理職によるガバナンス強化、複数担当者によるチェック、確認体制の強化など)
  • 本事案及びSSH支援事業の趣旨についての学内への周知徹底を通じた関係者の意識の醸成


参考1:スーパーサイエンスハイスクール

文部科学省が指定する「SSH」は、先進的な科学技術、理科・数学教育を通じて、生徒の科学的能力や科学的思考力などを培うことで、将来社会を牽引する科学技術人材を育成するための取組です。
https://www.jst.go.jp/cpse/ssh/index.html

参考2:東京工業大学附属科学技術高等学校のSSH指定期間

平成14年度~平成16年度(第1期)、平成17年度~平成21年度(第2期)、
平成22年度~平成26年度(第3期)、平成27年度(経過措置期間)、
平成28年度~令和2年度(第4期)