ＪＳＴ（理事長 中村 道治）は、出資型新事業創出支援プログラム（ＳＵＣＣＥＳＳ）において、株式会社サイフューズ（本社：東京都文京区、代表取締役 口石 幸治（クチイシ コウジ）、以下「サイフューズ社」という）から第三者割当増資注１）の引き受けを実施致しました。
サイフューズ社は、ＪＳＴの平成１８年度 地域イノベーション創出総合支援事業 育成研究および平成２１年Ａ－ＳＴＥＰ起業検証タイプの研究開発成果をもとに、平成２２年８月に代表取締役 口石 幸治らが設立したベンチャー企業です。
サイフューズ社のプラットフォーム技術は、直径０．５ミリ程度の細胞塊を微細な針に刺しながら積層し、細胞塊が融合した段階で針を除去することにより、細胞と細胞由来のコラーゲンからなる弾力性のある組織を作製することができます。サイフューズ社では、この技術を自動化したバイオ３Ｄプリンター（図１）を澁谷工業株式会社と共同開発し、平成２５年から国内の大学向けに販売をしています。
図１ バイオ３Ｄプリンターによる立体組織の製造フロー
サイフューズ社は、今回の資金調達を受けて、人員体制を拡充し、バイオ３Ｄプリンターの海外販売を開始するとともに、産学連携による研究シーズの一層の拡充を図ります。また、臨床用の細胞加工施設を立ち上げて全国の大学病院などから組織製造を受託する体制を整備することで、プラットフォーム技術の実用化、普及拡大を図ります。
サイフューズ社の技術はさまざまな種類の細胞に応用可能で、従来よりも厚く弾力性に富んだ組織を製造できるので、幅広い疾患領域での再生医療および創薬研究にブレークスルーをもたらすと期待されます。
なお、本出資は民間の投資機関および事業会社との協調出資であり、今回の資金調達によるサイフューズ社の調達総額は約１４億円です。
ＳＵＣＣＥＳＳでは今後も、ＪＳＴの研究開発成果を実用化しようとするイノベーティブなベンチャー企業に対して、成長資金の供給や関係機関のネットワークを活用したサポートを提供することにより、実用化を通じた先端技術の社会への還元を進めていきます。
＜企業概要＞
| 企業名 | 株式会社サイフューズ |
| 設立日 | 平成２２年８月１１日 |
| 本社所在地 | 東京都文京区 |
| 代表取締役 | 口石 幸治 |
| 事業内容 | バイオ３Ｄプリンターの販売、立体組織製品の開発、立体組織製品の製造受託 |
＜事業展開＞
バイオ３Ｄプリンターの販売および再生医療製品の研究支援を通じて、関連シーズの拡充を図りながら、バイオ３Ｄプリンターの臨床への適応を進め、将来の再生医療製品の製造受託を目指します。サイフューズ社は革新的な三次元組織再生技術の実用化を通じて医療の飛躍的な進歩に貢献します。
＜関連するJST事業＞
- 平成１８年度 地域イノベーション創出総合支援事業 育成研究
- 課題名：バイオラピッドプロトタイピングシステムの開発
- 代表研究者：中山 功一（当時 九州大学病院整形外科 医員）
- 平成２１年Ａ－ＳＴＥＰ 起業検証タイプ
- 課題名：自己脂肪由来幹細胞を用いた骨軟骨の再生医療の事業化」
- 研究責任者：中山 功一（佐賀大学 工学系研究科 教授）
＜SUCCESS事業概要＞
平成２６年４月より、ＪＳＴでは「出資型新事業創出支援プログラム」（略称：ＳＵＣＣＥＳＳ ＳＵｐｐｏｒｔ Ｐｒｏｇｒａｍ ｏｆ Ｃａｐｉｔａｌ Ｃｏｎｔｒｉｂｕｔｉｏｎ ｔｏ Ｅａｒｌｙ－Ｓｔａｇｅ ＣｏｍｐａｎｉｅＳ）を開始しました。本事業は、ＪＳＴの研究開発成果の実用化を目指すベンチャー企業に対しＪＳＴが出資並びに人的および技術的援助を行うことでその創出および成長を促進し、当該ベンチャー企業が行う事業活動を通じてＪＳＴの研究開発成果の実用化・社会還元を促進することを目的とした事業です。出資を通じてＪＳＴがベンチャー企業の株主になることで、民間の資金を誘引する「呼び水効果」を狙っています。
ホームページＵＲＬ：https://www.jst.go.jp/entre/
＜用語解説＞
- 注１） 第三者割当増資
- 特定の第三者に新株引受権（新株の割当を受ける権利）を与えて行う増資のこと。会社の資金調達の方法の１つで、会社の自己資本を充実させ、財務内容を強化することができる。
＜お問い合わせ先＞
株式会社サイフューズ
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学アントレプレナープラザ
取締役経営管理部長 鳥居 仁（トリイ ヒトシ）
Tel：03-4455-7872
Email: 
＜ＳＵＣＣＥＳＳ事業に関すること＞
科学技術振興機構 起業支援室
〒102-0076 東京都千代田区五番町７ Ｋ’ｓ五番町
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