研究課題名
大規模都市建築における日常から災害時まで安心して社会活動が継続できる技術の創出
プロジェクト実施期間
2017年度~2021年度(共創プラットフォーム型)
幹事機関、領域統括(所属)
東京工業大学、吉敷祥一(科学技術創成研究院 教授)
参画機関(大学等、企業等)
東京大学、東北大学、神戸大学、芝浦工業大学、(株)大林組、(株)竹中工務店、日鉄エンジニアリング(株)、(株)長谷工コーポレーション、東北電力(株)、三井住友建設(株)、(一社)日本鉄鋼連盟、(一社)ニューテック研究会、その他企業、法人など合計40社
めざす未来
本プロジェクトでは、超高層建築に代表される1棟で小規模な都市レベルの人口を抱えるとともに、社会・経済の中枢機能を担うことも多い大規模都市建築を対象として、巨大地震に代表される大規模自然災害に対しても機能維持を実現し、社会機能の継続を実現するための研究開発を行っています。高層建築物の耐震性を強化するとともに、将来的には地震による損傷の有無(安全性)を科学的に判定し、避難の有無および誘導を的確に行うとともに、人々に安心(不安の軽減)を与えるシステムを構築します。
研究のポイント
典型的な高層集合住宅をイメージして、RC架構の載荷実験を計画・実施しました。試験体にはいわゆる柱や梁などの構造骨組に加え、間仕切り壁、タイル仕上げ、鋼製ドアなどの非構造部材も設置し、産学が連携して載荷実験を行いました。試験体の各部材には多くの加速度センサを設置し、荷重、変形、損傷の相互関係を詳細に調べたところ、構造体の変形と非構造部材の損傷に高い相関が見られました。これまでは地震発生後に目視で損傷の程度を判定していましたが、センサのデータから高感度に部分的な損傷の開始点が判定できるだけでなく、非構造部材の損傷から構造骨組の損傷を推定できることとなりました。
ここがすごい
建築物の耐震性については、それぞれの企業が独自の測定法を用いて検討しています。今回OPERAのコンソーシアムメンバーが、大学、企業の枠を超えてこれまでの知見や技術を提供して、実大実験を実施しました。この実験で得られたデータは論文や学会等で公開し多くの研究者が解析することで、本プロジェクトの目標である「極大地震が起きても建築物の機能維持が可能で、社会活動が継続できる」そうした社会の実現に近づきたいと考えています。
企業への一言
OPERAとして研究活動は今年度で終了しますが、来年度以降もコンソーシアムとして活動を継続します。本プロジェクトに興味を持っていただいた企業様には、是非コンソーシアムの参画をご検討ください。建設関係企業に限らず、センシングや通信ネットワークの独自プラットフォームを有している企業様にも参加いただけると研究が加速されると期待します。
社会・経済機能の中枢機能が集約される大規模都市建築を対象に、極大地震をはじめとする自然再学に対しても、安心して社会活動が維持できる技術を創出します。具体的には建物の構造安全性能を向上する技術、大型部材や免震・制振部材の安全性を実証する技術、設備機器類等の損傷を制御して早期復旧を実現する技術、災害時だけでなく日常から活用できるモニタリングシステム技術、情報を安心に繋げる技術を開発します。