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OPERA (大阪大学)
共創コンソーシアム名:量子アプリ共創コンソーシアム
宇宙線起源のソフトエラーの評価と対策
分野原子核、素粒子、宇宙線および宇宙物理に関連する実験と理論
領域概要

研究課題名

宇宙線起源の半導体ソフトエラー評価技術の確立

プロジェクト実施期間

2017年度~2021年度(共創プラットフォーム型)

幹事機関、領域統括(所属)

大阪大学 中野貴志(核物理研究センター長 教授)

参画機関(大学等、企業等)

理化学研究所、名古屋大学、九州大学、東北大学サイクロトロンRIセンター、東北大学電子光理学研究センター、京都工芸繊維大学、量子科学技術研究開発機構、日本原子力研究開発機構、J-PARCセンター、早稲田大学、東京大学ISC、物質構造科学研究所、東京大学カブリIPMU、JAXA、京都大学、(株)京都メディカルテクノロジー、HIREC(株)、イーピーエス(株)、トヨタ自動車(株)、金属技研(株)、シマフジ電機(株)、富士電機(株)、(株)ソシオネクスト、中部電力(株) 、(株)アトックス、(株)日立製作所、日本メジフィジックス(株)、住友重機械工業(株)、富士フイルム富山化学(株)、三菱電機(株)、ヤマト科学(株)、シヤチハタ(株)、日本システムウエア(株)、東芝デバイス&ストレージ(株)、テリックスファーマジャパン(株)、(株)マイクロン、アンリツインフィビス(株)、湘南鎌倉病院、山中湖クリニック、リゾートトラスト(株)、フュージョネア・ダイアグノスティックス(株)、東芝エネルギーシステムズ(株)、ニチコン(株)、(株)日本中性子光学、(株)iMAGINE-X、ローム(株)、(株)千代田テクノル(計32社)

めざす未来

加速器の作り出す量子ビームは、本来の素粒子・原子核物理学の研究以外に、現代社会の課題解決のために様々な場面で応用されつつあります。今回は、我々が取り組む課題の内、超スマート社会の安全を支える宇宙線起源ソフトエラーの評価技術の開発について紹介します。ありとあらゆるところに集積回路が存在する現代において、宇宙線による誤動作は一度起こると致命的な障害を起こします。例えば、自動運転では、集積デバイスに人命を預けることになり、誤動作のリスクは計り知れません。本プログラムでは、世界に先駆けてソフトエラーレート評価技術や対策を確立し、超スマート社会の安全を支えると共に、新たな基幹産業の創出をめざします。

研究のポイント

マルチスケール・マルチフィジクス・シミュレーションを駆使した簡便で正確なソフトエラー評価技術を加速器による実測と照らし合わせることにより開発します。最初のステッップとして、シミュレーションで求めたビット反転の起こりやすさを示すSEU断面積とエネルギーの決まった中性子源による実測を比較します。ソフトエラー率は、SEU断面積を実際の宇宙線のエネルギースペクトラムでたたき込み積分することにより求まります。最後に、地上の中性子エネルギースペクトラムをよく再現できる阪大核物理研究センターの加速器を用いた加速試験との比較により、新たな評価法の正しさを確認します。この技術を国際標準化する予定です。

ここがすごい

リングサイクロトロン装置
AVFサイクロトロン装置で加速される陽子や重粒子のエネルギーを4倍に高め、原子核物理の実験研究や中性子・ミューオンを用いた産学共創研究等に供給する装置です。フラットトップ加速法により世界最高のエネルギー均一性(0.01%)と磁場安定性(0.001%以下)を達成し、原子核物理学研究で世界をリードしています。この加速器を応用することにより世界で4カ所しかない白色中性子照射場とミューオン生成装置を整備しました。現在、入射器のAVFサイクロトロンを更新中で、これが完了すると1億時間に1回という低い確率で起こるソフトエラー率も正確に測定できるようになります。

企業への一言

宇宙線起源のソフトエラーの評価と対策は市場に出回る集積回路の数と使い方の変化により今後急激にその重要度が高まると予想されます。システムインテグレーターとメーカーとアカデミアが緊密に連携することにより、世界に先駆けて将来必ず直面するリスクに備えることができます。また新しい評価方法の国際標準化により、半導体デバイスを使う側の安心と作る側の競争力を生みます。評価と対策を専門とする新たな産業の創出も期待されます。

ソフトエラー率の算出 / Simulated SEU

単色中性子照射とシミュレーションで得たSEU反応断面積から、計算で求めたソフトエラー率と実測値の比較。同一デバイスに対して多種多様なビームを照射してシミュレーションの精度の評価は改善を行なっています。

 

お問い合わせ先
大阪大学 核物理研究センター
メールアドレス:ou-opera@rcnp.osaka-u.ac.jp
住所:〒567-0047 大阪府茨木市美穂ガ丘10-1 核物理研究センター本館
電話:06-6879-8924  
URL:https://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/~qiss/index.html


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