2003年1月22日(水) システム同定の現在(概日時計の分子機構の解明) | |
講師: | 上田 泰己 |
内容: | 生命科学では2001年のヒトドラフトゲノム配列公開を象徴的な転換点として分子からシステムへと急速なパラダイムシフトが起こっている。しかしながら、動的で複雑な生命現象をシステムとして理解し、制御し、再構築していく研究は始まったばかりである。本講義では、システムバイオロジーにおけるシステム同定の位置付けを概観した後、動的で複雑な生命現象のシステム同定に有用なデータベース・実験手法を紹介する。続いて発現情報・転写開始点情報・ゲノム配列情報・効率的な検証系を組み合わせて、動的で複雑な生命システムの一つである哺乳類概日時計の分子機構の解明を行った研究事例を紹介する。最後に、他の系(細胞周期、分化)への応用の可能性について論じる。システムバイオロジーによるアプローチは動的で複雑な生命現象の解析手法や理解様式に変革を起こし、生命現象のシステム的理解・制御・再構築を可能にするものと期待している。 |
参加資格: | 特になし。ただし、システムバイオロジー、DNAマイクロアレイ、概日時計についての若干の知識があることが望ましい。 |
2003年1月22日(水) シグナル伝達経路のシステム解析 | |
講師: | 黒田 真也 |
内容: | 現在までの研究により、さまざまな生命現象を制御するシグナル伝達機構の全貌が明らかになりつつある。シグナル伝達機構は複雑なネットワークを形成していることが多く非線形性が存在するため、細分化する実験手法のみではその振る舞いを完全には理解しにくい。一方、複雑なシグナル伝達機構は生化学反応のネットワークとして捉えることが可能であり、生化学反応をベースとしたコンピュータ上でシグナル伝達機構を再構築することが可能であり、この方法により非線形を含むネットワークの仕組みの解析も可能となる。本講義では、コンピュータシミュレーションを使用したシグナル伝達機構の解析と簡単なコンピュータシミュレーション演習を行う。 |
参加資格: | 特になし。ただし、今回紹介するシミュレータ(GENESIS/kinetikit) を受講後利用する場合には、Linux経験があることが望ましい。 |