「ゲノムリテラシー講座」 アレイ・インフォマティクス(遺伝子発現解析)

2002年5月9日(木) アレイ設計・作成のための情報処理
講師: 久原 哲
内容: ゲノムプロジェクトの成果として、各生物のゲノム構造が明らかにされてきている。またゲノム全体の発現解析を可能にする手法の一つとしてアレイ技術があげられる。しかしながら、得られる実験結果が従来の方法に比較して多次元のデータであり、解析するためには新しい多次元ビューと解析するための新規手法が必要となっている。本講座では、アレイ作製から発現解析までの過程で問題となる、①作製過程でのエラー、②ハイブリダイズ実験でのエラー、③実験結果を格納するシステムの必要性、④新規解析手法の必要性等について使用例を示しながら解説する。
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2002年5月10日(金) 発現プロファイル解析 薬理ゲノミクス
講師: 田中 利男
内容: 薬理ゲノミクスは、ヒトゲノム上に残されている新規薬物標的遺伝子(治療遺伝子)を探索同定し、新しい薬物療法を可能にする科学である。この目的を達成するために、遺伝子多型(ゲノム)、トランスクリプトーム、プロテーム、メタボローム、フィジオーム解析がなされているが、すべての発現遺伝子の中から治療遺伝子を見い出し、確立することは、国際的にも困難を極めている。特に、ターゲットバリデーション(target validation)における研究戦略は、世界的にもまだ確立していないのが現状である。今回はトランスクリプトーム解析を中心に、新規治療遺伝子に辿り着くプロセスについて、我々の実例について紹介する。このプロセスにおいて必要不可欠な薬理ゲノミクスデータベース構築、疾患遺伝子と治療遺伝子の関係解析、既知治療遺伝子と新規治療遺伝子の関連解析などについても解説を試みる。
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2002年5月10日(金) 発現情報の診断への応用
講師: 角田 達彦
内容: これからの医療は,個人の体質,例えば病気へのなりやすさ,薬の効きやすさ,副作用の生じやすさなどを診断することにより,予防や治療法の選択などを行うことが求められる.それには体系的網羅的に現象をとらえる必要があるが,現在最も有効な手段として,SNPなどの遺伝子多型を調べることにより遺伝的素因を明らかにする方法,および,各患者の遺伝子転写産物の発現プロファイルをマイクロアレイによって観測し診断する方法などがある.今回の講義では後者をとりあげ,われわれが実際に発現プロファイルを解析し,病気や薬効,副作用などと関連する遺伝子を発見することにより,個人差を重視した治療に役立ててきた研究事例を紹介する.
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