低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2020-PP-18

CO2化学吸収液の直接水熱処理による有機物合成

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概要

 CO2排出削減のために、分離回収されたCO2を燃料や化学物質に転換するCCU技術が経済性の観点から期待されている。省エネルギーかつ低コストなCCU技術の確立を目指し、CO2を吸収した化学吸収液を直接水熱処理することによりギ酸などの有機化合物を生成し、さらに、同時に吸収液を再生して再利用するCCUプロセスを提案する。

 その予備的検討として、CO2を吸収した吸収液に重炭酸カリウム(KHCO3)水溶液を用い、触媒としてニッケル、還元剤として鉄を用いた水熱実験を行った。KHCO3濃度1.0M、KHCO3:Fe:Ni=1:6:6(モル比)の条件で300℃、2時間の加熱により、32.7%のギ酸収率と77.8%吸収液再生率が得られ、ギ酸生成と吸収液再生を同時に行えることを明らかにした。一方で、最適条件でも吸収液の再生率およびCO2の利用率を100%にできないことも分かった。CO2吸収との組み合わせや還元剤の再生などプロセス全体の設計を進め、CCUプロセスとしての実現可能性を評価するとともに、経済的な観点からも本提案プロセスの優位性について検討・提案していく。

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