低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2020-PP-10

自家用自動車からのCO2排出量の要因の分析評価

  • SDGs7
  • SDGs9
  • SDGs13

概要

 本提案書ではまず、自家用自動車の走行からのCO2排出量の年次変化を、燃費性能の向上、保有台数の増加、走行距離の変動の3要因に分解し、全体としてのCO2排出の減少トレンドを説明する。

 小型車を中心として車両耐用年数が近年長くなっている傾向は、車両の更新による燃費改善のCO2排出削減効果を相殺する一方で、車両製造時のCO2排出量を減らすことでライフサイクル全体のCO2排出量の減少に寄与する。現状の燃費性能の改善トレンドの下では、近年の耐用年数の長期化は、CO2排出削減の観点からは合理的といえる。ハイブリッドやEVなどの燃費性能が優れた車種へ更新し、車両を長く使うことが、CO2排出削減に有効であることが示唆される。また、年間走行距離は燃費効率と正の相関をもち、燃費効率の良い車両の購入により、走行距離の増加によるCO2排出増加のリバウンドがある。ユーザーの車両選択についてのモデルからは、効用関数における燃費効率のウェイトが年々低下しており、消費者の燃費効率への選好が徐々に低下する傾向が示される。今後の政策立案に向けては、製造時のCO2排出の評価、低燃費車の普及による走行距離増加の抑制、消費者の選好の変化の考慮を取り入れることが必要であることを示す。

提案書全文

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