低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2015-PP-02

蓄電池システム(Vol.3)
—リチウム空気電池のコスト評価と技術開発課題—

概要

 低炭素社会戦略センター(LCS)ではこれまで、従来のCo、Mn、Ni系正極活物質と黒鉛負極活物質、あるいは新規Li2O正極活物質とシリコン系負極活物質を組み合わせたリチウムイオン電池を設計し、2030年に高容量化活物質を用いた蓄電池の製造コストは5円/WhSTまで削減可能であることを示した。

 一方、低炭素社会の実現に向けて、様々な低炭素システムの社会への導入・普及を推進するためには、高出力、高容量、低コストな蓄電技術を確立することが必要となる。本稿は、リチウムイオン電池より更なる高いエネルギー密度が期待されているリチウム空気電池について検討した。具体的には、リチウム・グラフェン負極と実験結果で報告されている容量密度2000mAh/gの多孔質グラフェン正極を用いて、10kWhの定置型電池システムの設計と性能及びコスト評価を行った。評価結果により、リチウム空気電池のシステムエネルギー密度は180WhST/kgであり、製造コストは28円/WhSTとなった。

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