石澤 秀紘
マイクロバイオームの秩序形成をめぐる生態理論の物質的理解
グラント番号:JPMJPR25N1
研究者: 石澤 秀紘
大阪大学
大学院工学研究科
助教
研究概要
微生物は多様な種からなる集団(マイクロバイオーム)として存在し、その代謝機能や動植物への影響を通じ、多くの産業や環境問題で重要な役割を果たします。これらは本来的には利己的な種/個体の集合体であるにも関わらず、1つの生命体のように自己組織化し、一貫した構造・機能を再現性高く形成します。本研究ではこうした微生物集団の秩序形成機構を理論と実体の両面から捉え、その制御に向けた新たな基盤の構築を目指します。
伊藤 太一
ヒドラ睡眠様状態の階層性とその動的制御の理解
グラント番号:JPMJPR25N2
研究者: 伊藤 太一
九州大学
基幹教育院
准教授
研究概要
多くの動物に睡眠が見られますが、その本質は未解明です。本研究では、神経構造が単純な刺胞動物のヒドラを用い、1個体ごとの高解像度行動解析系を構築します。この系とヒドラの再生能力などの特性を活かし、睡眠様状態の発現・復元・多様化の仕組みを明らかにします。さらに、行動・神経・細胞状態の対応関係を多階層的に解析し、睡眠創発とその分子制御原理を最小単位で理解できるモデル基盤の構築を目指します。
井上 晋一
環境温度に順応するしなやかな生命力の解明
グラント番号:JPMJPR25N3
研究者: 井上 晋一
東北大学
大学院医学系研究科
助教
研究概要
環境温度の変動に対して順応する生命力を熱産生脂肪組織に焦点をあて解明します。本研究では、網羅的オミクス技術を駆使し、環境温度変動により移りかわる変化を分子レベル(エピゲノム)から個体レベルでとらえ、環境順応のメカニズムを解明することを目指します。
太田 茜
種が進化する際の復元を経た多様性獲得のマルチモダリティ
グラント番号:JPMJPR25N4
研究者: 太田 茜
甲南大学
理工学部
研究員
研究概要
動物の温度への適応機構を理解するために、15年・1000世代をかけて作成したオリジナルの人工進化C. elegans冷凍保存群を駆使します。それらの系統が示す(1)長期における温度適応の多様性の獲得と、(2)一時的な局所期間での表現型の復元について、ゲノム・エピゲノム・神経活動の多階層レベルで解析します。本研究により、種が進化する際の復元を経た多様性獲得のマルチモダリティの理解を目指します。
大出 高弘
多様な形態を創り出す昆虫の変形機構
グラント番号:JPMJPR25N5
研究者: 大出 高弘
京都大学
大学院農学研究科
助教
研究概要
昆虫は、「昆虫らしい」体の基本構造を系統間で高く復元する一方、体の一部を極端に変形することで、系統ごとに新しい形態を多様化させています。本研究では、祖先・派生形態を示す近縁な昆虫種を利用して、遺伝子発現、組織構造、三次元形態の関係性を定量的に理解します。発生過程への自在な介入を実現する遺伝子発現操作法を確立することで、体の一部が形の復元力を逸脱して多様化するしくみの構成的な解明を目指します。
小川 貴史
栄養応答性に基づく動的老化測定と復元力の解明
グラント番号:JPMJPR25N6
研究者: 小川 貴史
広島大学
大学院統合生命科学研究科
助教
研究概要
生物は環境情報に短時間で可逆的に応答しますが、この能力は加齢に伴い減衰します。本研究は真核生物に保存されたmTORC1経路をモデルに、老化による栄養応答性の乱れが分子から個体寿命に及ぼす影響を線虫を用いて時空間的マルチスケールで解析し、栄養応答性に基づく動的指標の老化評価法を確立します。これにより生命が持つ復元力を解明し、老化や加齢性疾患の早期介入に資する技術基盤の創出と健康寿命延伸に貢献します。
奥山 雄大
植物の多様化を駆動する花香生合成・制御機構の進化メカニズム解明
グラント番号:JPMJPR25N7
研究者: 奥山 雄大
国立科学博物館
植物研究部
研究主幹
研究概要
植物は2億年以上にわたって送粉者と共生し、命を繋いできました。そこで日本で多様化を遂げた植物を対象に、送粉者誘引に特に重要と考えられる花香物質を複数取り上げ、その生態学的機能を明らかにすると同時に、その生合成・放出の遺伝的基盤まで解明します。この上で、近縁種間のゲノム比較を通じて、花の香りという適応形質の多様化が非常に短い地史的時間スケールで実現しているのはなぜか、という謎の解明を目指します。
尾畑 佑樹
神経を“食べる”マクロファージがもたらす腸機能の洗練
グラント番号:JPMJPR25N8
研究者: 尾畑 佑樹
テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター
免疫学部門
アシスタントプロフェッサー
研究概要
哺乳類の腸は出生後、微生物や母乳成分などの外的刺激を受けながら、その機能を徐々に洗練させていきます。この過程で鍵となるのが「腸内の脳」とも呼ばれる腸管神経系であり、初期に形成された神経回路の一部はマクロファージにかじり取られることで、機能的な回路へと再構築されます。本研究では、神経とマクロファージが織りなすダイナミックな変化を分子レベルで可視化し、腸の機能的洗練のメカニズムを解明します。
鯨井 智也
DNAに対する自然免疫システムの分子・構造基盤
グラント番号:JPMJPR25N9
研究者: 鯨井 智也
東京大学
定量生命科学研究所
講師
研究概要
DNAに対する自然免疫は、異常なDNAを検知して排除する生命力として機能します。この機構は、自然免疫因子と細胞内環境の相互作用から形成される制御システムにより実現されます。本研究では、クライオ電子顕微鏡解析と生細胞イメージングを組み合わせ、細胞内環境における自然免疫因子の構造ダイナミクスを原子から細胞スケールで可視化します。これらの時空間計測を通じて、自然免疫システムの全体像の理解を目指します。
後藤 祐平
トレハロース代謝制御による細胞休眠と再生能力のバランス解明
グラント番号:JPMJPR25NA
研究者: 後藤 祐平
京都大学
大学院生命科学研究科
准教授
研究概要
細胞の休眠状態には「ストレス耐性の獲得」と「増殖再開能力の維持」という二面性が存在します。本研究では、トレハロース代謝酵素の操作系を開発し、細胞質流動性を制御することで、この二面性のバランス機構を解明します。特に、休眠の深さの細胞間不均一性に着目し、集団としての適応戦略を明らかにします。この研究は、生物の復元と多様化の機構理解に新たな視点をもたらし、細胞保存技術や再生医療への応用が期待されます。
谷本 昌志
姿勢復元基準の形成を導く神経基盤の解明
グラント番号:JPMJPR25NB
研究者: 谷本 昌志
自然科学研究機構
基礎生物学研究所
助教
研究概要
生物にとって、自身の姿勢の崩れに対して元の状態に戻るための運動を制御し、姿勢保持や適切な行動を行うことは日常生活に必要不可欠です。本研究では、姿勢の「元の状態=復元基準」が発達期の経験に依存して形成されるという仮説を検証することを目的とします。経験による姿勢復元運動の変化とその神経回路実体の可塑的変化を捉える計測技術の開発・活用を通じて、姿勢復元基準の形成を導く神経基盤を明らかにします。
塚原 小百合
転移因子のターゲティング機構多様化の解明
グラント番号:JPMJPR25NC
研究者: 塚原 小百合
科学技術振興機構
さきがけ研究者
研究概要
転移因子であるレトロトランスポゾンが、特定の染色体領域を標的として転移する「ターゲティング機能」に注目します。セントロメア領域や遺伝子領域などの染色体領域を標的として実際に転移する植物のレトロトランスポゾンを用いて、その多様化したターゲティング機構を分子レベルで解明することにより、進化の過程において生物のゲノムがどのように形成されてきたのかという生命の基本原理を理解することを目指します。
萩原 賢太
複数神経修飾因子同時計測による意思決定過程の解明
グラント番号:JPMJPR25ND
研究者: 萩原 賢太
自然科学研究機構
生理学研究所
教授
研究概要
神経修飾因子システムの破綻が多くの精神疾患の病態に関連付けられていますが、 正常な脳における基本的な役割すらよくわかっていません。特に複数の神経修飾因子が協調して神経細胞群の活動をどのように制御するのかは、ほとんど手つかずの課題といえます。本研究では複数の神経修飾因子を多数脳領域で同時計測することにより、刻々と変化する多様な環境に生物が柔軟に適応する生命力の神経回路基盤の理解を目指します。
マイティンガー フランツ
加齢という代償を伴う組織の生命力:有糸分裂ストレス応答がもたらすトレードオフ
グラント番号:JPMJPR25NE
研究者: マイティンガー フランツ
沖縄科学技術大学院大学
細胞増殖・ゲノム編集ユニット
准教授
研究概要
老化は組織機能の徐々な低下により進行し、健康維持には正確な細胞更新が不可欠です。細胞分裂の遅延やストレスは染色体分配の異常を引き起こし、ゲノム不安定化やがんの原因となります。細胞は監視機構で増殖を停止させ、損傷細胞の拡散を防ぎますが、老化の特徴である老化細胞の蓄積も促進します。本研究では、この仕組みがゲノム保護と老化のバランスをどう制御するかを解明し、がん治療や健康的な老化への応用を目指します。
湯本 原樹
進化するクロマチン三次元構造:異質倍数体の環境応答機構
グラント番号:JPMJPR25NF
研究者: 湯本 原樹
信州大学
山岳科学研究所
特任助教
研究概要
クロマチンの三次元構造が「可塑性(復元)」と「固定性(多様化)」をどのように両立させているのかという根本的な仕組みを解明するため、低温型と高温型のサブゲノムを併せ持つ異質倍数植物を用いて、世界初の野外環境下でのクロマチン構造の時空間的解析を実施します。クロマチン構造を介した協調的な制御機構や、中標高域での季節的可塑性と高低標高域での環境特化的固定性を明らかにし、新たな進化概念を提示します。
横山 文秋
単・多細胞性が紡ぐ細菌多細胞生命体の生活史
グラント番号:JPMJPR25NG
研究者: 横山 文秋
沖縄科学技術大学院大学
教員担当学監オフィス
ぶりぶし(群星)フェロー
研究概要
単細胞生物である細菌は集団を形成します。集団から脱離した細菌は次世代集団を復元するのでしょうか、多様化するのでしょうか。これに迫るために、「一細胞孤立状態」を介した「集団としての次世代」に焦点を当てます。祖先と子孫の集団を隔離培養する微小流体デバイス技術や、定量生細胞イメージングによって摂動に対する生物応答を解析します。単・多細胞状態の応答を調べ、細菌の生活史より広いスケールでを明らかにします。