さきがけ

国立研究開発法人科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業
戦略的創造研究推進事業

[未来数理科学] 2025年度採択課題

荒木 亮

乱流の自発的確率性と情報理論的描像

グラント番号:JPMJPR25K1

研究者:荒木 亮
写真:荒木 亮

東京理科大学
創域理工学部
嘱託助教

研究概要

流体が示す時空間的に乱れたふるまいである乱流の予測・制御はきわめて重要な問題だが,乱流のカオス性が障害となる.本研究では「情報の観点」から乱流を調べることで,この問題に取り組む.とくに,従来の初期値鋭敏性によるカオス描像ではなく,決定論的な系が特異な極限で自発的に示す自発的確率描像に注目する.乱流に内在する確率的ふるまいを基に,乱流の予測や制御の基盤となる情報理論描像の構築を目指す.

古賀 一基

幾何学的データの解析に向けた数理基盤

グラント番号:JPMJPR25K2

研究者:古賀 一基
写真:古賀 一基

科学技術振興機構
さきがけ研究者

研究概要

近年の生物学分野では電子顕微鏡による観測、さらに機械学習モデルによる生成を通じて得られた幾何学的な3次元データが急速に蓄積されており、その比較・分析に向けた効率的なアルゴリズムの開発が強く求められています。本研究ではこの幾何学的データの解析における主要課題に対し、その基盤となる優れた数学的表現と解析手法を計算調和解析学の立場から提案し、広く生物物理学分野における新しいスタンダートを確立します。

近藤 洋平

微分可能な流体シミュレーションによる臓器形成の逆解析

グラント番号:JPMJPR25K3

研究者:近藤 洋平
写真:近藤 洋平

名古屋大学
One Medicine 生命-創薬共創プラットフォーム
特任准教授

研究概要

飛行機を開発するように臓器を開発できるようにするため、生体組織の流体力学モデルを曲面に拡張し、自動微分とモデル縮減を用いた誤差逆伝播によって、胚発生データから力学的な制御の空間分布を推定する逆解析基盤を構築します。 本研究ではマウス脳の初期形成過程を逆解析し、 さらに推定した空間不均一な力学特性を空間オミクスと統合して制御因子を抽出、臓器発生の理解を深め、合理的設計と製造への道筋を開きます。

佐藤 一宏

可制御性スコアに基づくシステム介入と変革点検知

グラント番号:JPMJPR25K4

研究者:佐藤 一宏
写真:佐藤 一宏

東京大学
大学院情報理工学系研究科
准教授

研究概要

本研究は,ダイナミクスが未知かつ非線形な実システムに対し,観測データから可制御性スコアを直接算出し,どの変数にどの程度介入すべきかを自動判定する新手法を開発します.さらに,その知見に基づいて低次元入出力モデルを構築し,リアルタイムでの予測と制御を可能にします.また,スコアの変化を指標として変革点を高精度に検知する新たな方法を確立し,大規模複雑システムの理解と制御に革新をもたらすことを目指します.

白坂 将

ティッピング予測のための時変観測作用素力学系解析基盤の構築

グラント番号:JPMJPR25K5

研究者:白坂 将
写真:白坂 将

大阪大学
大学院情報科学研究科
准教授

研究概要

本研究課題は、動的にセンサ配置を更新して高品質データを積極的に取得する時変観測系へとKoopman作用素理論を拡張することで、これまで困難だった非自律ティッピング現象の予測と理解を可能にする解析基盤を構築することを目指します。主固有関数に基づく低次元構造の抽出と次元縮約モデルの構築により、解釈性と予測精度を兼ね備えたデータ駆動型予測手法を実現します。

杉谷 栄規

不均一性と遅れが生み出す協調動作の予測と制御

グラント番号:JPMJPR25K6

研究者:杉谷 栄規
写真:杉谷 栄規

大阪公立大学
大学院工学研究科
准教授

研究概要

これまでのネットワーク科学では,同期現象を誘発するには,各振動子の周波数がそろい,相互作用に遅れがない方が望ましいと考えられてきました.ところが近年,むしろ周波数の不均一性や相互作用の遅れがネットワーク内の同期を促進するという興味深い現象が報告されています.本研究では,この現象のメカニズムを解明するための定量的な解析手法を構築し,さらに同期を生み出す適切な不均一性と遅れの設計指針を提案します.

谷川 洋介

非線形因果構造で解く疾患多様性学習の数理

グラント番号:JPMJPR25K7

研究者:谷川 洋介
写真:谷川 洋介

カリフォルニア大学ロサンゼルス校
工学部
アシスタント・プロフェッサー

研究概要

疾患には発症・進行・治療応答に個人差がある。しかし、その因果的な要因がなす数理構造は十分に解明されておらず、個別化予測・介入の実現を妨げる要因となっていた。本研究提案では、非線形因果構造の数理解析を活用した疾患多様性の数理的理解に挑戦する。解釈可能な分離された表現を与え、かつ、因果推論の結果とも整合的な変分オートエンコーダを開発し、遺伝データへの応用と、モデルの同定性など理論的解析を行う。

中野 雄史

準安定カオスの統計数理と現象制御への新視点

グラント番号:JPMJPR25K8

研究者:中野 雄史
写真:中野 雄史

北海道大学
大学院理学研究院
准教授

研究概要

観測時間内に限定した複雑系の長時間挙動を捉えるため、準安定カオスに対する独自の統計数理(観測時間依存の極限定理・熱力学形式等)を構築します。これをホモクリニック分岐等の汎用性の高い力学系へ適用し、その統計的性質の厳密な理解を通じて多様な応用への基盤を築きます。最終的に、本統計数理を複雑な化学反応経路の局所平衡解析などに適用し、現象の精緻な予測と効率的な制御を可能にする新たな視点を提示します。

姫岡 優介

細胞死を予測し制御するための数理基盤の開発

グラント番号:JPMJPR25K9

研究者:姫岡 優介
写真:姫岡 優介

東京大学
大学院理学系研究科
助教

研究概要

「死」は古来より関心を集めてきたが、細胞の小ささが観察や制御を困難にしてきた。近年の分子生物学的技術の進展によりその壁は克服されつつあり、生体系における「生」の喪失機構を理解する方法論が求められている。本研究では、生化学反応系に制御理論を導入し、細胞死の予測と制御を可能にする理論基盤を構築することを目指す。

深見 開

数理的非定常流体予測制御に向けたLow-Rank Manifold Villageの構築

グラント番号:JPMJPR25KA

研究者:深見 開
写真:深見 開

東北大学
大学院工学研究科
准教授

研究概要

本提案は、一見複雑な高自由度非定常流体現象に介在するその低ランク性に着目し、様々な時空間スケールの流体現象にて構築される我々の周りのシステムを、非線形データ科学手法を活用し低次元多様体表現の集合、すなわち村、として記述する、新しい流体解析の数理的枠組み創出を目指す。本提案を通し、様々な高自由度流体現象の相互干渉の、低次元表現を通したリアルタイム解析、予測および制御に挑戦する。

堀口 修平

発生経路の進化に学ぶ多細胞立体構造生成の経路計画

グラント番号:JPMJPR25KB

研究者:堀口 修平
写真:堀口 修平

科学技術振興機構
さきがけ研究者

研究概要

本研究では、多細胞生物の三次元形態形成を形態空間上の経路として捉え、物理法則と観測データの統合によって発生経路を推定・生成する数理的枠組みを構築します。さらに、進化的に多様化・収束した発生過程の比較を通じて、経路選択における定性的な法則を抽出し、形態生成の普遍的原理を探究します。これにより、生物の発生機構の理解に加えて、人工的な立体構造生成の経路計画に資する理論基盤を確立することを目指します。

李 静沛

高次元非滑らか導関数不要最適化の構築

グラント番号:JPMJPR25KC

研究者:李 静沛
写真:李 静沛

情報・システム研究機構
統計数理研究所
准教授

研究概要

本研究は、導関数不要最適化を高次元かつ非滑らかな問題へ拡張し、スケーラブルかつ理論保証のある新たな枠組みを構築します。正則化分解、アクティブ多様体の識別と活用、曲率と機械学習の統合により、従来法の限界を打破します。特に、耐震補強計画や津波観測網の最適配置など災害対応に関わる予測・制御問題や、機械学習を含む多様な応用領域への展開を通じて、社会課題の解決に資する数理最適化技術の確立を目指します。

渡邉 知樹

圏論と連続最適化によるソフトウェアの安全性保証

グラント番号:JPMJPR25KD

研究者:渡邉 知樹
写真:渡邉 知樹

情報・システム研究機構
国立情報学研究所
助教

研究概要

無限状態を有する確率的プログラムに対する形式検証手法を研究する。確率的高階関数型言語の形式検証に対する圏論的構造理論に取り組み、並行し、凸多目的最適化を用いた確率的命令型言語に対する形式検証手法の高速化に取り組む。また、前述とは異なるタイプの確率的プログラムの形式検証問題を定式化する。この問題を構造的に拡張した最適輸送問題に帰着させ、その効率的なアルゴリズムの開発に取り組む。

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