H15年度採用研究課題名と研究者紹介
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平成13年度 平成14年度 平成15年度
河津信一郎 谷内 一郎 中川 一路 福井 宣規 堀 昌平
「免疫制御性T細胞の分化メカニズムの解明とその免疫疾患治療への応用」
理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究センター 研究員
堀 昌平
堀昌平(ほりしょうへい)
1989年
東京大学理科II類入学
1993年
東京大学薬学部薬学科卒業
東京大学大学院薬学系研究科修士課程入学学部の卒業研究ならびに大学院修士課程では、清水博教授(現名誉教授・金沢工業大学場の研究所所長)のもとで自己組織理論を学び、心臓拍動をモデルとして生体の自律分散制御理論の研究を行う。
1995年
東京大学大学院薬学系研究科博士課程進学
名取俊二教授(現名誉教授・理化学研究所特別招聘研究員)のもとで、昆虫(センチニクバエ)変態における「自己免疫」の研究を行う。昆虫の変態期には幼虫組織が崩壊するが、これは生体防御を担う体液細胞により引き起こされるため、一種の「自己免疫」として捉えることができる。そこで、変態期には体液細胞表面に幼虫組織を「非自己」として認識するレセプターが発現されると考え、蛹体液細胞特異的に発現するスカベンジャーレセプターを見いだした。
1998年
大学院博士課程修了 博士(薬学)
同大学院薬学系研究科特別研究員をへて、
1998年9月〜
2001年8月
Instituto Gulbenkian de Ciencia(グルベンキアン科学研究所、ポルトガル)、博士研究員
免疫学に転向し、Antonio Coutinho教授(所長)、Jocelyne Demengeot博士のもと、制御性T細胞 (regulatory T cells; Treg) の研究を行う。Tregが感染免疫の制御にも重要であることをP. carinii肺炎をモデルに初めて見いだした。また、実験的自己免疫性脱髄炎モデルにおいてTregの自己抗原特異性と起源を明らかにした。
2001年9月
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、派遣研究員
2002年4月
理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター、研究員
帰国後、京都大学再生医科学研究所坂口志文教授のもと、引き続きTregの研究を行う。転写因子Foxp3がTreg分化のマスター遺伝子として機能することを見いだす。
2004年4月
理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター、免疫恒常性研究ユニット ユニットリーダー
 私はこれまでに自己組織理論の研究、昆虫変態の研究、免疫学、と一見でたらめな研究生活を歩んできました。しかしその背景には、「生命システムにおいて、如何に多様な要素から『自己』というアイデンティティが自己組織化されるのか、その原理を知りたい」という、隠された動機がありました。留学を機に、免疫システムをモデルとしてこの問題、すなわち自己・非自己の識別、免疫寛容の問題に本格的に取り組んでいます。免疫寛容という問題は、免疫学における中心的課題であることはもちろん、医学的にも極めて重要です。自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー、慢性感染症、臓器移植、癌といった現代の難病はすべて免疫寛容に関係した問題です。
 現在私が興味をもって研究しているのは、Tregによる免疫制御機構、特にTregの発生・分化メカニズムです。Tregは、自己免疫、炎症、アレルギーといった生体にとって有害で過剰な免疫応答を抑制することで生体のホメオスタシスの維持に重要な機能を果たしています。一方、Tregは本来は生体にとって有利である免疫応答を抑制し得るため、腫瘍や感染症の成立に寄与していると考えられます。Tregによる免疫制御機構を理解することは、免疫寛容の原理を理解する上で重要な鍵となるのみならず、これらの難病を人為的に制御する上でも大切です。私は、このさきがけ研究で、Treg分化のマスター遺伝子として同定したFoxp3を手がかりとして、Treg分化のメカニズムの全体像に迫ります。そして、得られた知見をもとに、免疫難病の治療に少しでも貢献できればと考えています。

【受賞歴】
2006年4月 科学技術分野の文部科学大臣表彰「若手科学者賞」受賞
 
 
研究所リンク
独立行政法人理化学研究所 免疫恒常性研究ユニット
http://www.riken.jp/r-world/research/lab/rcai/home/index.html