H13年度採用研究課題名と研究者紹介
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平成13年度 平成14年度 平成15年度
上田 啓次 川端 重忠 鈴木 敏彦 高柳 広 田中 義正 野崎 智義 三田村 俊秀 宮沢 孝幸 牟田 達史 吉田 裕樹
粘膜病原細菌の感染に対するワクチン開発を目指した新戦略の構築
東京大学医科学研究所 講師
鈴木 敏彦
鈴木敏彦(すずきとしひこ)
1987年 東北大学農学部農芸化学科卒業
1年間研究生として東北大学農学部農芸化学科応用微生物学講座の伊崎和夫教授の下で植物軟腐病の病原菌Erwinia carotovoraのペクチンリアーゼ遺伝子の研究を行う
1991年 東洋醸造(現旭化成)で医薬品の学術業務を経て東京大学医学系研究科保健学専攻(修士課程)および病因・病理学専攻(博士課程)において医科学研究所細菌研究部吉川昌之介教授の下で赤痢菌の病原遺伝子の分子遺伝学研究を行う
博士課程では笹川千尋助教授(現細菌感染分野教授)のもとで赤痢菌の細胞間感染機構の研究を開始し、宿主のアクチン重合を利用した赤痢菌の細胞内運動機構の解明を行う
1997年 博士号(医学)を取得
1997年4月 細菌研究部(現感染・免疫大部門 細菌感染分野)の助手に採用され、赤痢菌の上皮細胞感染に必要な細胞骨格系蛋白の再構成機構の研究を行う
現在その成果を腸管病原性大腸菌およびヘリコバクターピロリの粘膜感染における宿主細胞との相互作用の研究へ発展させるとともに、これまでの知見を基盤にして病原細菌感染に対する新たなワクチン開発研究を開始
2001年12月 細菌感染分野の講師に昇任
2006年6月 琉球大学大学院医学研究科 教授に昇任
【現在の研究】
 赤痢菌をはじめとした粘膜病原細菌による感染症は発展途上国を中心にいまなお猛威をふるっており、特に赤痢菌が引き起こす細菌性赤痢は、発展途上国における乳幼児の死亡原因の1つとなっていて、国際的視野から重要な感染症です。本菌はヒトの結腸粘膜上皮へ侵入し、さらに周囲の上皮細胞へ再感染を繰り返しながら、粘膜上皮に激しい炎症を引き起こして、粘血性下痢を惹起することが知られています。この複雑な粘膜感染機構を進行させるために赤痢菌は多くの機能性分子(エフェクター)を分泌していますが、近年の研究で、エフェクターの分泌機構およびそれらの宿主標的分子が同定され、これにより赤痢菌による粘膜感染のメカニズムを分子の言葉で語れるようになってきました。現在、臨床分離株のほとんどが多剤耐性菌であることから有効なワクチンの開発が求められています。本研究では、これまで明らかにされた病原細菌の感染機構や宿主粘膜炎症機構を基盤にした新たなワクチン開発を目指します。
【受賞歴】
2001年4月日本細菌学会黒屋奨学賞
        (赤痢菌のアクチン重合に基づく細胞間感染機構の研究)
 
 
研究所リンク
東京大学医科学研究所感染・免疫大部門細菌感染分野
http://157.82.98.20/imswww/Soshiki/KansenMenekiDaibumon-e.htm#1