三木　裕明 (Hiroaki Miki)) （東京大学医科学研究所　助教授） http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/cancer_genomics/index.html Wntシグナルは、形態形成を制御する情報伝達系として発見され、細胞がん化や幹細胞分化制御などの医学・生物学的に重要な現象に関わることが知られています。神経細胞の形態制御にも影響することから、本研究ではWntシグナルの情報伝達因子Dishevelledの発現から微小管安定化に至る分子メカニズムを追究し、神経細胞の形態制御とそのネットワーク形成におけるWntシグナルの重要性を突き止めることを目指します。 神経芽細胞腫N1E-115細胞にDishevelled1（Dvl1）を強制発現させた。細胞を固定した後、間接蛍光抗体法により染色し顕微鏡観察した。赤色で発現させたDvl1を、緑色でβ-tubulinの染色イメージを示す。Dvl1を発現している細胞では微小管から成る神経突起が形成され、細胞の形態が大きく変化している。 ▲UP 　 村田　茂穂 (Shigeo Murata) （東京都臨床医学総合研究所　主席研究員） 細胞内で異常となったタンパク質は、分子シャペロンの助けにより正常に復帰するか、ユビキチン化された後プロテアソームにより分解されるかの運命をたどり、細胞内への蓄積が防がれています。しかしその選別機構および異常タンパク質のユビキチン化機構は明らかではありません。本研究では、シャペロンとユビキチンシステムの橋渡しをする「品質管理ユビキチンリガーゼ」の同定と作用機構の解明により、神経変性疾患をはじめとした異常タンパク質蓄積に基づく疾患の新たな理解を目指します。