本研究は第三の生命鎖として重要な機能を有する糖鎖を、基板上でビルドアップにより合成する手法を開発しています。これまでに独自に開発した「だるま落とし保護法」による糖鎖合成手法と、集積回路作製技術でありますフォトリソグラフィー技術を融合することにより、基板上のある特定の部位に選択的に特定の糖鎖をビルドアップし、糖鎖アレイを作製する基本技術の確立を目指しています。今までのさきがけの研究成果として、ガラス基板上の官能基の有無を呈色反応により確認する技術を確立したと共に、基板上の糖鎖を保護基の脱離を伴わない特殊な温和条件で切り出すことに成功し、構造確認ができるようになりました。これにより今後ビルドアップしていく糖鎖構造を逐次各反応段階で確認可能となり、目的達成のための基礎技術が確立しました。

表面処理したガラス片の呈色反応。A：ある特定の官能基がガラス表面に存在する為、ガラスが青黒く着色した。B：ガラスAに表面処理を行い、表面に存在した官能基をすべて別なものに変換した為、ガラスが着色しなくなった。