戦略的創造研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)における研究テーマの一環として、小澤岳昌研究者(平成15年度新規採択)等は、マウス個体内における男性ホルモンリセプター(AR)の核内移行を,光検出する新しいプローブ分子を開発し、米国学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に掲載されました。
発光タンパク質Renilla luciferase(RLuc)は、生体機能を解析するための高感度分析ツールとして現在注目されています。本研究は、二分して発光機能を失ったRlucが、ペプチド組み継ぎ反応(プロテインスプライシング)により再発光することを見出し、この技術を利用してARの核内移行を発光検出するプローブの開発に成功しました。開発したプローブを用いて、
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ARの核内移行を誘起あるいは阻害する化学物質の高速スクリーニング |
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生きたマウス個体内におけるAR核内移行の非侵襲的イメージング |
に応用できることを実証しました。
本研究により開発した方法は、男性ホルモンリセプター(AR)に限らず核内に移行する様々なタンパク質に応用可能な一般性を有しています。タンパク質の核内移行をターゲットとした薬物や毒物の高速スクリーニングや、マウス体内での化学物質の動態解析など広範な応用が期待できます。
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