さきがけニュース
「生体分子の形と機能」領域
鋳型なしRNA合成の分子機構を解明 濡木理研究者30年以上謎であった鋳型非依存性RNA合成酵素によるRNA合成の分子機構を明らかにし、Nature誌に掲載される | |||||||||||||||||||||
戦略的創造研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)における研究テーマの一環として、濡木理研究者(平成14年度採択)らは、tRNAの末端シチジン−シチジン−アデノシン(CCA)配列を合成する鋳型非依存性RNA合成酵素(CCA酵素)がRNAを重合する過程の、6ステップの複合体の構造決定に成功して、特異的なRNA重合反応の動的な分子機構を解明し、その成果が英国科学雑誌Nature(10月26日号)に掲載されました。 CCA酵素、様々な重合段階のtRNAプライマー、基質(ヌクレオチド)の二者あるいは三者複合体のX線結晶構造解析により、鋳型非依存性RNA合成酵素(CCA酵素)の反応機構において、ヌクレオチドの結合によって誘発される酵素とRNAの動的な作用によってCTP(シトシントリフォスフェート)選択・付加が、酵素にRNAが結合した静的な状態でATP(アデノシントリフォスフェート)選択・付加が行われる、というユニークな分子機構が明らかになりました。 この結果は、30年以上もの間未解決であった、鋳型に依存せず特定の配列のRNAを合成する酵素の全反応機構を、構造変化を含めた動的変化面から世界で最初に解明したものであり、核酸性の鋳型を用いずに定まった配列を合成できるRNA合成酵素の開発が期待されます。 |
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