さきがけニュース
「生体分子の形と機能」領域
多剤耐性菌の薬剤認識・排出メカニズムを解明 村上聡研究者多剤排出トランスポーターが様々な薬剤を認識・排出するメカニズムを、
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戦略的創造研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)における研究テーマの一環として、村上聡研究者(平成14年度採択)らは、大腸菌のもつ最も強力な多剤排出トランスポーターAcrBと薬剤の結合状態のタンパク質複合体に着目し、X線結晶構造解析によって2種類の複合体の立体構造を明らかにしました。その結果、トランスポーターが薬剤を認識し排出するメカニズムが初めて明らかとなり、その成果が英国科学雑誌「Nature」電子版に8月17日に掲載されました。 AcrBを構成するタンパク質分子が3量体構造からなることは、村上研究者らが2002年に世界で初めて構造決定しNature誌の表紙を飾りましたが、今回は、薬剤結合状態のタンパク質複合体を対象とした3年間のさきがけ研究で、AcrBの3量体は非対称の立体構造をしており、それぞれが構造を微妙に変えて、薬剤を取りこむ、薬剤を結合する、薬剤を排出する、の3つの役割を順番に果たし、排出に必要な通り道を作っている仕組みが明らかにされました。 この結果は、院内感染や再発ガン、末期ガンに見られる多剤耐性化問題の原因タンパク質が薬剤を無効にする仕組みが、原子レベルで理解できたことを意味し、病原性細菌の多剤耐性化問題の克服に向け、新薬開発などの本質的な解決策をもたらすものと期待されます。 |
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