さきがけニュース
「生体分子の形と機能」領域

「生体分子の形と機能」領域 村上 聡 研究者
多剤排出タンパク質AcrBの立体構造を解明


 戦略的創造研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)における研究テーマの一環として,村上聡研究者(平成14年度新規採択)らは,大腸菌における主要多剤排出トランスポーターであるAcrBタンパクの立体構造を世界にさきがけて解明し,その成果は「Crystal structure of multidrug efflux transporter AcrB」として,英国科学誌「Nature」(2002年10月10日号)に掲載され,また表紙を飾りました.
 多剤排出トランスポーターは,院内感染などの多剤耐性化問題の主因であるばかりでなく,抗ガン剤耐性化の原因蛋白質としても注目されています.多剤排出トランスポーターは,病原性細菌の細胞膜や,ガン細胞の膜に存在する膜蛋白質で,これまで結晶化が困難であったため立体構造が不明でした.これら排出トランスポーターの立体構造が明らかになったことより,耐性菌に排出されない抗生物質の開発や,排出トランスポーターを阻害し,耐性化を防ぐ薬剤の開発などの臨床応用に拍車がかかることが期待されます.


AcrB立体構造のリボンモデル図.


氏  名 村上 聡(むらかみ さとし)
所  属 「生体分子の形と機能」領域(URL:http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/complete/biomolpresto/
研究期間 2002年11月〜2005年10月
研究課題 薬剤耐性化問題の克服を目指した多剤排出蛋白質の薬剤認識機構の解明とその応用
所  属 大阪大学 産業科学研究所 助手
Email mura@sanken.osaka-u.ac.jp

【関連URL】

[研究者ページ] http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/complete/biomolpresto/sub418.html
http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/research/17seitaibunshi/murakami/index.html
[NATURE誌] http://www.nature.com/


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