さきがけニュース
「生体分子の形と機能」領域

セプチンの神経機能とパーキンソン病との関連を発見 木下 専 研究者

セプチン系がドパミン神経伝達系を安定化する生理機能を持つ一方、パーキンソン病の責任蛋白質α-シヌクレインによる神経変性を抑制することを発見、Neuron誌に掲載される


 戦略的創造研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)における研究テーマの一環として、木下 専研究者(平成15年度採択)らは、パーキンソン病の責任蛋白質の1つであるα-シヌクレインとともに蓄積して神経障害をもたらす「悪玉」と考えられていたセプチン蛋白質Sept4が、重要な神経機能を持つ一方、α-シヌクレインによる神経変性を抑える「善玉」機能も併せ持つことを発見し、パーキンソン病の複雑な病態メカニズムの一端を明らかにしました。α-シヌクレインの変性と神経毒性を抑えるSept4のはたらきを薬剤などで模倣できれば、治療法の開発につながることも期待されます。

 この成果は米国神経科学雑誌「ニューロン」(2月15日付)電子版に掲載されました。また同号に、Climbing the Scaffolds of Parkinson's Disease Pathogenesisの表題でCommentaryも掲載されました。

 上記研究に先立って、同研究者らはセプチン系の破綻が細胞分裂を阻害することや、精子無力症をもたらすことなどを発見してきましたが、いずれもセプチン系が生体内で担っている多彩な役割を示すものです。同研究者らは、セプチン蛋白質のユニークな自己集合性や生理機能の背景となる構造的基盤の解析を目指しています。


氏  名 木下 専 (きのした まこと)
所  属 「生体分子の形と機能」領域(URL:http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/complete/biomolpresto/
研究期間 2003年10月〜2007年 3月
研究課題 「極低温電子線断層法によるセプチン系超分子構造体の解析」
所  属 京都大学大学院医学研究科先端領域融合医学研究機構 特任助教授
生化学・細胞生物学グループリーダー
Email mkinoshita@hmro.med.kyoto-u.ac.jp

【関連URL】

[研究者ページ] http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/complete/biomolpresto/sub420.html
http://sentan1.hmro.med.kyoto-u.ac.jp/~top/teams/index_m_kinoshita.html
[Neuron誌記事] http://www.neuron.org/content/article/abstract?uid=PIIS0896627307000396
[JSTプレス発表] http://www.jst.go.jp/pr/announce/20070216/index.html


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