戦略的創造研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)における研究テーマの一環として、井上豪研究者(平成13年度新規採択)等によって,ヒト由来プロスタグランジンD合成酵素の反応メカニズムが原子レベルで解明され,米国情報誌「Nature Structural Biology」(4月号)にて掲載されました。
本解明は、花粉症(毎日新聞,Yahoo ニュース,毎日きっず新聞)やアレルギー治療薬の開発の手がかりとなるもので、本酵素の構造を基にした阻害剤の開発によって、既に経口投与で抗アレルギー作用を発揮する薬の開発が進んでいる(特開2003-144145、特開2004-2248 (PCT:JP02-09994)。さらに最近、本酵素の阻害剤は脳損傷の拡大や筋ジストロフィー患者の筋壊死を阻止する作用を有することも明らかとなり、より強力な阻害剤となるよう更なる研究の発展が期待されています。
一方、アフリカ睡眠病の病原中であるトリパノソーマ由来のプロスタグランジンFを合成する酵素の原子レベルでの構造の解明も進んでおり、流産防止薬の開発を目的とした阻害剤の開発も進めている(特願2002-350569)。
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