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戦略目標

「通信・演算情報量の爆発的増大に備える超低消費電力技術の創出」
(平成17年度文部科学省設定)

具体的な達成目標

  デバイス技術、回路技術、アーキテクチャ、VLSI技術、システムソフトウェア技術の各技術分野における技術開発、および、それらを統合した技術開発により、スーパーコンピュータから携帯情報端末などの組み込み用情報通信システムまで適用可能な、消費電力あたりの処理性能を100倍から1000倍にする超低消費電力技術の確立を目指す。

目標設定の背景及び社会経済上の要請

  情報通信機器が高性能化するにしたがい、消費電力の増大が大きな問題になりつつある。 例えば、現在の技術の延長のままスーパーコンピュータの高速化を進めると、2010年代には1台のスーパーコンピュータを運用するためには原子力発電所1基並みの電力が必要となり、また、中央演算装置の発熱は太陽の表面並み(表面温度約6千度)に達してしまうと言われている。また、今後のユビキタスコンピューティングの進展により、ネットワークに接続される情報通信機器の数が爆発的に増大し、さらに情報通信機器の高機能化に伴って、全体の消費電力は等比級数的に増加することになる。
   このように単なる既存技術の延長線上では物理的に超えることのできない壁が存在しており、これは喫緊の課題となっている。スーパーコンピュータや組み込み用情報通信システム等は、これまで我が国が得意としてきた分野であるが、将来にわたって我が国がこの分野で世界を先導していくためには、5年から10年先の実用化を見据えた抜本的かつ画期的な低消費電力化技術の開発に戦略的に取り組むことが不可欠である。
  なお、超低消費電力化技術を開発することにより、携帯情報端末やスーパーコンピュータ等の幅広い情報通信機器の高性能化・高機能化が継続できるだけでなく、これまで考えられなかったような情報通信機器の応用分野が切り開かれることが期待される。

目標設定の科学的裏付け

  10年先程度の将来を見据えた場合、抜本的な超低消費電力化を実現するための要素技術としては、以下のようなものが考えられる。

  • デバイス、回路技術分野
    動的閾値制御技術、高誘電率材料技術、磁気抵抗メモリ等の不揮発メモリデバイス技術、単一磁束量子素子等
  • アーキテクチャ、VLSI技術分野
    動的再構成VLSI技術、高機能メモリ技術、並列演算処理技術、組込用超低消費電カプロセッサを活用したスーパーコンピュータ等
  • システムソフトウェア分野
    低消費電力化のためのコンパイラ技術、OS等による資源制御技術等

  このように、システムの低消費電力化のためには、多くの技術分野におけるチャレンジが必要であり、研究開発すべきテーマは多岐にわたる。さらにシステム全体を統合するためのインテグレーション技術の研究開発も非常に重要であり、要素技術の開発と並行して進めて、プロトタイプシステム等を開発することで検証していく必要がある。この取り組みのためには各分野の研究者・技術者が分野を超えた共同研究の体制をとる必要がある。
  また、長期的な課題ゆえ、大学での取り組みが主導的であるが、デバイスの製造技術などは企業が保有しているため、プロトタイプシステムの作成等、産学協同体制により推進していくことが重要である。さらに、この分野の技術発展のためには若手研究者・技術者の育成にも重点を置く必要がある。

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