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研究代表者・研究課題

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脳に安全な情報環境をつくるウェアラブル基幹脳機能統合センシングシステム

本田 学

本田 学
国立精神・神経医療研究センター
神経研究所疾病研究第七部 部長



研究概要

 情報環境と脳との不適合によって発生する特異なストレスは、生命活動を制御する基幹脳(脳幹・視床・視床下部などからなる生命の基幹的機能を担う脳部位)の機能異常を導くことが判明しており、情動・自律神経系や内分泌・免疫系の不調を介して様々な現代病の原因となります。本研究では、安全・安心な情報環境の創出に資するために、多チャンネルバイタルセンサからのシグナルを統合することにより、小型軽量で高確度なウェアラブル基幹脳機能センシング技術を創成し、日常生活空間で簡便に使用できるシステムの実用化を目指します。


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実証実験

 安全・安心な情報環境を創出するためには、いわばポータブル血圧計のように、日常の生活空間の情報環境において、日常的生活行動をとる人間の基幹脳機能を、簡便かつ正確にセンシングする技術が不可欠である。しかし、医療目的に開発された従来の脳機能計測技術そのままでは、実現が難しい。
 研究代表者らは、大規模な医用画像装置で計測した基幹脳の局所脳血流が、頭皮上の特定領域(中心〜頭頂〜後頭部)から記録した脳波の特定周波数成分(10-13Hzのα2帯域成分)のパワーと統計的有意に正の相関を示すことを発見した。
 そこで本研究では、日常的な情報環境の中で日常的行動をとる被験者から基幹脳機能を簡便かつ正確に捉えるウェアラブル基幹脳機能統合センシングシステムを開発する。具体的には、まず脳波記録手法の再開発により、日常生活環境で簡便に脳波を記録・伝送・保存することを可能にするとともに、この手法を用いて記録される限定された脳波データを中核として、必要に応じて心拍変動や皮膚抵抗などのバイタルシグナルを加味することにより、基幹脳活性を再構成する実用的指標を導く。その上で、被験者の拘束度を大幅に軽減し日常生活空間をモデル化した環境下で、開発するウェアラブル基幹脳機能統合センシングシステムの校正をおこなうことにより信頼性と有効性を高めるための実証実験を実施する。


基幹脳機能センシングに基づく情報環境の安全・安心対策

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重要技術

1)基幹脳活性指標再構成技術の開発
 本研究の中核となる要素技術である。頭皮上の限定された電極から記録されたシグナルに必要に応じて心拍変動や皮膚抵抗などのバイタルシグナルを加味し、数理的手法により再構成して、ポジトロン断層法または磁気共鳴機能画像をもちいて同時計測された基幹脳の活性と相関の高い基幹脳活性指標(Fundamental Brain Activity index: FBA-index)を求める解析技術を構築する。

2)ウェアラブルセンサシステムの開発
 日常生活環境において日常的な活動を妨げることなく、脳波、心拍変動、皮膚抵抗などを同時に計測・伝送することが可能なセンサシステムを開発する。

3)システム校正・臨床評価用シミュレータの開発
 バイタルシグナルや脳血流などの生理指標を計測することが可能でありながら、日常生活環境をシミュレートできるモデル空間を構築し、開発したシステムの校正と臨床評価を行う。そのために、超小型ポジトロン断層撮像装置試作機を目的に応じて改良し、被験者の拘束度を著しく軽減した脳血流計測システムを構築する。同時に、薬物を用いることなしに被験者の基幹脳機能を変動させてデータをサンプリングするために、視聴覚情報によって基幹脳機能を活性化するための情報環境制御システムを構築する。


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